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学園ご意見所X
官能リレー小説 - 学園物

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学園ご意見所X 116

いきなり玉川くんが決め球にしているカーブからだったが、霧香センパイは見極めたようでコースも外れてボール。
玉川くんはかなり不満そうな表情をしていた。

「まだ江越を舐めてるなあの一年」
「まぁ、俺もパンチ見切られるまではあの一年と同じだったさ」

空手部の真島先輩とボクシング部の横見先輩も全国大会クラスの選手なんだけど、どちらも霧香センパイに負けている。
先輩達の口ぶりは負けて屈辱と言う雰囲気は無く、霧香センパイだから仕方ない的な感じ。
凄いものは凄いと認めれるから全国レベルなのかもしれない。

そして2球目。
向こう側の女子から悲鳴が上がるような顔近くの球。
私も思わず悲鳴が出そうになるぐらい顔の近くだったが、霧香センパイは微動だにせず。
むしろニヤニヤしているようにも見えた。

玉川くんは相当苛立ってる感じ。
女ごときにって言うのが態度からも見て取れるが、普通の女子相手なら気持ちも分からなくも無い。
だが、目の前に居るのは人外だ。

3球目。
再びインコース、しかも速球。
しかし今度は霧香がスイング。
甲高く抜けるような金属音と共に打ち上がる白球。
グングンと伸びていく白球は、グランド端の高いネットの上段にガシンと当たるのが見えた。
あそこまで飛べば、ドーム球場でもホームランだろう。

呆然とする玉川くん。
顔近くに球が行っても怯むどころかホームランとは・・・
やっぱり霧香センパイは規格外だった。

「いい薬だな・・・まあこれでアイツもいいピッチャーになるさ」

そう言いながら微笑む飯島先輩。
何かいいイケメンで好感度アップだ。

女子達が大歓声を上げる中、呆然と立ち尽くした玉川くんの所に行った飯島先輩が肩をポンと叩く。
玉川くんは心ここにあらずと言った感じでこちらにやってきた。
何人かの運動部の先輩達が彼の背中をポンポン叩いてやっているのは彼らなりの情けだと思う。

「結果分かっていたけど、アイツ・・・パワーアップしてないか?」
「実は男でしたと言っても驚かないな」
「いや、宇宙人でしたと言っても驚かないぞ」
「まあなんだ・・・一年、よく投げたなお疲れ」

ガッカリして肩を落とし返す言葉もない玉川くんを出迎えるのはクロちゃんだった。

「ドンマイドンマイ、タマちゃん頑張ったよ、あの人人間じゃないから!!」
そう言って玉川くんの頭をナデナデするクロちゃん。
ああ、あの2人なかなかいい感じではないか。

代わってマウンドには飯島先輩が上がる。

頑張った玉川くんには悪いけど、迫力や存在感が圧倒的に違う。
投球練習だけで雰囲気が違う。

そしてこちらも雰囲気が変わった霧香センパイ。
投球練習に合わせて素振りをしているが、さっきよりスイングに迫力がある。

「本気よね、霧香」
「あんな霧香センパイ見たら濡れてきますよ」
「ふふ・・・私も既に濡れ濡れよ」

愛華センパイがそう言う通り、霧香センパイのイケメンぶりに向こうの応援団はウットリ。
目にハートが浮かんでいるのがこちらからでも見えそうだった。

そんな黄色いけどピンクな声援が倍増する中、霧香センパイがバッターボックスへ。
飯島センパイがいつものゆったりとした動作から投球する。
ズバーンと決まったのは外角低め一杯。
霧香センパイは動かず。
ストライク判定と球速が154キロと計測係の男子が叫ぶ。
向こう側からブーイングとも悲鳴ともつかない声が大きく上がるが、2人とも同じる様子は無い。

そして2球目。
同じコースの速い球。
だが、グイッと外側に変化する。
バットを出しかけた霧香センパイが止まりボール判定。

「何ですか?!あれっ!」
「飯島くんの得意球カットボール、通称カッターね・・・殆どストレートと変わらない速さで曲がるある意味魔球ね」
「元からあるスライダーとこのカッターで予選は無双してたんだけどね飯島くん・・・でも伝統的に1人のピッチャーだけに投げさせない小松台だから、三年生が打たれて予選敗退したんだけど、彼の評価はうなぎ登りね」

説明してくれた愛華センパイに続いて、なのでバイソンズに入団すべきと続ける梓センパイ。
中山先輩が新しい変化球を覚えたと言っていたけど、これがそうなんだろう。

そして3球目。
今度は真ん中近く。
でもそこから鋭く外へと曲がる。
まるで魔法みたいに曲がった球は外に外れてボール。
霧香センパイはまた打つのを止めていた。

「得意のスライダーね、いい切れ味してるわ」
「しかし可愛げないな霧香・・・2つとも手を出せばボテボテだったのに見極めるとはね」

多分、負けて欲しいと言う思いは同じだろう愛華センパイと梓センパイ。
若干温度差はあるが。
これでカウントは2ボール1ストライク。

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