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学園ご意見所X
官能リレー小説 - 学園物

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学園ご意見所X 112

そんな話をしていた終盤、8回表に動きがあった。
ヘルナンデスが捕まり、1アウト一二塁。
バッターは山盛の場面でドルフィンズベンチはヘルナンデスを諦めて難波にスイッチ。

「元々チームでも有数の速球派投手だったんだが、ベテランになって投球術を身につけて、今ではセットアッパーの中心的存在だね」

少しずんぐりした体型のいかにも気の強そうな難波選手。

「対戦成績は難波選手が圧倒的に上なんだけど・・・」
「ところがどっこい!山盛にはっ、データは無関係っ!!」

すっかり息の合った梓センパイと翼。
試合より2人を眺めるのが楽しくなってきた感がある。

「そうなんだよなぁ・・・山本選手も規格外なんだけど、山盛も規格外なんだよなぁ」

霧香センパイの声はボヤくような感じ。
それだけ山盛選手も凄いと言う事なのだろう。

そして、この場面は山盛選手が規格外を発揮。
もう後一歩でホームランと言う大飛球をフェンスに当てての2点タイムリー。
終盤でバイソンズが再びリードしたのだ。

8回裏のドルフィンズは3番から始まる好打順だったものの、バイソンズの剛腕助っ人バークレーの前にあっけなく三者凡退に終わる。

9回表、ドルフィンズのマウンドには若手セットアッパーの長塚投手が上がる。
ランナーを一人出すものの後続をしっかり抑え、5対3、バイソンズ2点リードでいよいよ9回裏。

「霧さんや、お帰り頂いても結構ですぜ」
「何を言うかな梓くん。野球は9回裏ツーアウトからだというだろ?」
おぅ、2人の視線の間を火花が行きかっているかのようだ。

バイソンズの絶対的守護神、森村悟投手の名前がコールされた。

森村投手は160キロの速球と落差の大きなフォークボールを武器とする球界きってのクローザー。
ただ今シーズンは怪我で長らく戦列を離れた事がバイソンズの順位低迷の一因になったとも言われている。
その怪我から復帰して4戦目で、少し調子は上向いたものの、まだ本調子ではないみたいだと霧香センパイの説明だった。

「つまり、チャンスはあると?」
「少しはね・・・普通ならバイソンズの勝ちパターンだが、森村投手も復帰以来三者凡退の回が無いからね」

そんな説明を受けながら最初の球。
高めに外れた球はボールながら、161キロの速度表示に球場がどよめく。

だけど本調子でないとの言葉通り、フルカウントにしてのファーボール。
そして次のバッターにも同じくファーボール。
また球場がどよめいた。

「あらあら、ストレートもフォークも決まらないじゃないか」
「ぐぬぬ・・・」

梓センパイと翼が頭を抱える中、ドルフィンズは代打にベテラン河内選手を起用。
しかし・・・

粘ったものの160キロの渾身のストレートに三振。
しかしドルフィンズは更に代打攻勢。
今日はスタメンから外れた都並選手を起用。
だが・・・

「よしっ!流石森村っ!」

梓センパイが叫ぶ。
凄い落差で落ちたフォークボールに空振り三振。
だったが・・・

「うへっ?!」

翼から変な声。
キャッチャーがボールを後ろに逸らして見失っていた。
慌てたように走る都並選手。
キャッチャーがボールを取った時には都並選手は一塁を駆け抜けていた。

「あんなのありですか?」
「振り逃げと言ってあれはアリなんだよ」

三振してもアウトにならないってびっくり。
これで1アウト満塁。
そして次のバッターは・・・

「来ましたよ聖來さん」
「ええ、こんな場面が回ってくるなんて、翔くんらしいわ」

山本選手がゆっくりと打席に向かっていたのだ。

「うおおおお、一番ヤなバッターに回してしまった…」
「もうあとは神様何とかして…」
余裕の表情が一転、祈るような言葉まで出る梓センパイと翼。

森村投手は真っ向勝負でカウント2-2。
山本選手は外目の速球を捉えて打球はレフト方向へ。聖來さんが興奮のあまり席を立つ。
山盛選手が打球を追う。フェンス際でジャンプしグラブを伸ばす。
しかし、あと一歩足りなかった。差し出したグラブの僅かに上に当たり山盛選手はフェンスに激突し転倒。ボールは無人の左中間を転々とした。

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