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学園ご意見所X
官能リレー小説 - 学園物

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学園ご意見所X 111

投球練習が終わり、今日大活躍の山本選手の名がコールされる。スタンドからも大歓声だ。

「楽しみな対決ですね」
「あとシングルとツーベースでサイクルヒットだな」
「いーや、絶対抑えるんだからね!」
桜庭先生、霧香センパイ、梓センパイ。見方はそれぞれ。

鳥居投手の1球目はその持ち味であるシュート…らしい。
山本選手の膝あたりから手前でグイッと曲がるような…本当に人間の手で投げられるような球なのか!?と思えるくらい凄い軌道。
審判はストライクとコールした。

続く2球目は同じようなコースを描く…と思いきや、さっきみたいに曲がらずに山本選手の背中をドスン、と直撃した。死球。

「さすがだな、狙撃手」
「そっちの意味で使わないで…」

ベテランの鳥居投手もしまったと言う顔をして帽子を取ったから投げ損ないなのだろう。
山本選手も怒る風も無く少し残念そうな感じで一塁に小走りで行く。
痛がる素振りも見せないし、一塁で守備の選手と笑顔で話してる辺り基本的に紳士なんだろう。
聖來さんの方は心配そうな表情になったけど、それを見てホッとしていた。

続くドルフィンズの2番3番も左打者なので続投。
この1番からの3人はドルフィンズの攻守の要であるが、こう言う左キラーが出てくるとウイークポイントにもなる。

その通り、2番打者は外角からストライクゾーンに入ってくるシュートを見逃して三振。
3番打者はドロップにバットが空を切り三振。
鳥居投手は左キラーぶりを発揮して仕事を終えて降板したのだ。

「バイソンズとしては少し計算外だったろうね・・・できれば鳥居投手だけでこの回をおわりたかっただろうに」
「そうよね、どこのチームでも4番打者の前にランナー貯めたくないもの」

霧香センパイと愛華センパイが試合を見ながら静かに語るのと正反対に、梓センパイと翼は盛り上がったり落ち込んだりと賑やか。

ドルフィンズの4番打者は先発のヘルナンデス投手と同じくキューバ出身のモラレス選手。
今シーズン2年目でメジャーでも中軸を打った経験のある強打者だ。
「ドルフィンズは独自の外国人獲得ルートを持ってる」とは霧香センパイの言葉。
4番を打つ強打者なのにショートを守っている面白い選手。しかも守備も軽快で上手い。

バイソンズの方はマウンドに石岡投手を送り込む。
社会人野球上がりのルーキーで開幕からリリーフで活躍しているそうだ。

「見とけヒナ、石岡さんも面白いピッチャーだから」
翼が自信ありげに言う。
石岡投手が投球練習を始める。そのフォームは特徴的…腕が地面スレスレを通過するように見える、アンダースロー。

「球速は130キロ前半とプロの中では遅い部類なものの、多彩な変化球が持ち味だ・・・特に魔球とまで言われるシンカーを投げるいい投手だね」

ドルフィンズファンだが、霧香センパイはいい選手はいいと褒めるタイプ。
流石はイケメンだけはある。

「外国人選手はアンダースローを苦手にしていると言う都市伝説めいた話もあるからねぇ」
「ああ、それで交代したんですか?」
「まあ、鳥居投手には悪いが・・・モラレスは左投手を得意としてるから分が悪すぎると言うのもある」

こうやって解説してもらえるから見ていて楽しくなってきた。
それだけじゃなく、梓センパイと翼のようなはしゃぎ方も何だかいいなあと思える。

そして、1回にタイムリーを打ったモラレス選手だったけど、そのシンカーを引っ掛けてボテボテの内野ゴロでこの回は終わる。

「打てなかったのは残念だけど、バイソンズは一枚余計にリリーフを使った・・・これがどう出るかだよね」
「何の!リリーフ陣はドルフィンズより潤沢よ!」

霧香センパイの言葉に梓センパイが反応。
仲良くいがみ合って微笑ましい。

だからこそ双方のプレーに盛り上がれる。
霧香センパイと梓センパイ(と翼)の間の約束事もすっかり忘れそうだった…まあどっちが勝っても私と友梨奈センパイにとっては悪いことではない、と思いたい。

「続投?」
「ああ、ヘルナンデスはドルフィンズ一のスタミナの持ち主だからな」
「そろそろヘタってきませんかねぇ?」
「リリーフに不安のドルフィンズですからねぇ?」
バイソンズファンの2人の挑発にも霧香センパイは動じることはない。さすがイケメン。

「今頃ブルペンでは難波と長塚が肩を作ってるだろう。ここで代えてもいいけど、このまま延長戦になる可能性もあるから行けるとこまで行ってもいいだろうな」

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