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学園ご意見所X
官能リレー小説 - 学園物

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学園ご意見所X 110

マウンド上ではドルフィンズの投手と捕手、それに内野手とコーチが集まって話をしている。

「低めに集めて打ち損じを待つ?」
「そうなりゃラッキーだな。ヘルナンデスはいくつもの死線を乗り越えてきた大ベテランだからな」

投手コーチがベンチに下がり内野陣が自分のポジションに戻る。
ヘルナンデス投手も並木捕手もピンチなのに落ち着いたような顔だ。

試合再開…ヘルナンデス投手は渾身の球を投げるがストライクが入らない。
霧香センパイは「そう来る?」なんて呟きニヤついている。

結果、フルカウントまで行ったものの最後は大きく外れて押し出しの四球。三塁ランナーが帰りバイソンズに3点目が入る。

「一点は仕方ないと言う攻め方ね」
「わざと・・・なんですか?」

愛華センパイがその様子を見ながらそんな事を言う。
そして梓センパイと翼がズルいズルいと騒いでいる。

「ああ、山盛の打力を考えると、打たれたら一点で済まないからな」

霧香センパイがそう言った通り、後続が討ち取られてバイソンズの攻撃が終わったのだ。

2点リードで迎えた3回裏。
その回のトップバッター、9番のヘルナンデス投手が山盛選手の前にヒット。
今度は山盛選手も上手く捕球してもの凄い勢いでニ塁に送球。
ヘルナンデス投手は一塁に留まり山本選手に回ってきた。

「聖來さん、二打席目ですね」
「ええ、好調だから楽しみだわ」

やはりバッターボックスに立つと大きく見える山本選手。
その3球目だった。

ここまで聞こえるぐらいの打音を響かせ、物凄く速い打球が飛んでいく。
そのままライトスタンドに突き刺さった打球。
山盛選手の高い放物線とは全く違うホームランだった。

3対3、ドルフィンズが同点に追いつく。
呆然とする梓センパイと翼、霧香センパイは余裕の笑みを浮かべる。
聖來さんと淳子さんは手を取り合って喜んでいる。

バイソンズはここで先発の橋本投手をあきらめ、2番手の市村投手がマウンドに上がる。
後続はしっかりと抑えて同点で試合は中盤戦に向かう。

そして6回表。
先頭打者は山盛選手であったが、ヘルナンデス投手の前に豪快な三振。
チャンスじゃないとかなり打率が低いだけにホームランの打席とは違いきりきり舞いさせられていた。
そして他の打者も凡退し、6回表が終わる。
ドルフィンズの攻撃は山本選手からだった。

「実は山盛選手と山本選手は高校時代に甲子園で対戦した事があったのよ」
「確か同い年でしたね?」
「ああ、準決勝で当たって山盛が山本投手から三連続本塁打を打って降している」
「翔くんはあれで投手としての道は諦めて、プロでは打者一本で行く決意ができたと言ってたわね」
「そのお陰で今があるなら、ライバル対決もいいものですね」

プロの世界はきっといくつもそんなストーリーがあったのだろう。
そして彼らは今もライバル同士で切磋琢磨しているのかもしれない。


そしてバイソンズは投手交代。
某お仕事暗殺者のBGMが流れて現れたのは鳥居投手。

「いよっ!待ってました!」
「左殺しの狙撃兵!鳥居大明神!」

梓センパイと翼が活気付くから凄い選手なんだろうか。

「左キラー、鳥居投手だね・・・職人ぽくてオレも個人的には好みだ」
「凄い選手なんですか?」
「左打者に関してはな・・・山本選手にとっても天敵みたいな存在だが、投入タイミングとしてはかなり早いな」

霧香センパイがなにやら唸っている。
相当いやらしい投手なんだろう。

「ここが勝負と読んだのかしら?」
「恐らくはな・・・もう1人左のバークレーがいるからバイソンズとしては彼でドルフィンズに勢いがつくのを防ぎたいのだろうね」

投球練習をする鳥居投手は、そんなに速い球を投げている訳では無い。

「ネットで見ても、あのシュートはヤバいとか、必殺のシュートとか言う書き込みがあるわね」
「ああ、プロの中でも屈指のシュートはストレートと変わらない速度で鋭く曲がるからな・・・」

友梨奈センパイに霧香センパイがそう言う辺り、相当ヤバい相手みたいだ。
そんな投手を6回から投入したと言う事は、バイソンズサイドが相当この試合を重要視しての事かもしれない。

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