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学園ご意見所X
官能リレー小説 - 学園物

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学園ご意見所X 107

観客席に手を振り笑顔を振りまく淳子さん。駆け足でマウンドに向かう。

ドルフィンズの先発投手と握手しボールを受け取る。
バッターボックスの方を向いてバイソンズの先頭バッターと球審に向かって一礼。
大きく振りかぶって長い手足を思い切って使って渾身の一球を投げ込む。
ボールは山なりだがノーバウンドで捕手のミットに収まった。
バッターが空振りするのは始球式のお約束らしい。

「んー、あっちゃんいい笑顔」
「この後こちらに来ますので楽しみにしていてくださいね、浅間先生」

「最近会えて無かったから楽しみにしてるわ」

アンリ先生の笑顔はどこか恋する乙女のまま。
愛華センパイに2人が頻繁に会って逢瀬を重ねていると以前に聞いたから、まあ今でもそう言う関係なんだろう。

そして、初回の攻撃が始まる。
先行はバイソンズ。
梓センパイと翼の応援に熱が入る。

「バイソンズの一、二番は巧打で俊足の煩いバッターだ・・・塁に出して山盛に回すと厄介だね」

ドルフィンズファンの霧香センパイだけど、解説は割と公正みたい。

「山盛選手は打率がかなり低いって聞きましたけど?」
「うん、見た目の打率は低いが、山盛は得点圏打率が驚異的なのさ・・・典型的なクラッチヒッターさ」

つまり、バイソンズの攻撃の組み立ては、いかにして山盛選手の前に塁を埋めるかと言う事みたい。
霧香センパイの説明で試合の見方が結構分かってきた感がある。

ドルフィンズの先発投手はヘルナンデスという外国人投手。

「今年で39歳って、結構なベテランなのでは」
愛華センパイが選手名鑑をくれたのでちょっと調べてみる。
「ああ、ドルフィンズに来て今シーズンで4年目だ。だけどとてもタフなピッチャーだし先発でも中継ぎでもどこでもしっかり仕事してくれる。グラウンドボーラー…ゴロで抑えていくから山盛には相性もいいと思うんだがな」
霧香センパイ、ホントに中継の解説者みたい。

「この人キューバ出身でね、それはそれは波乱万丈の人生を送ってきたんだけど、それはまた別の話かな」
「そう言われると気になるー」

「まっ、その辺はおいおいとな」

そう言ってグランドの方を見る霧香センパイ。
その霧香センパイが煩いと言っていたバイソンズの一番バッターがいきなりヒットで出塁していて、梓センパイと翼が盛り上がっている。

そして二番バッターが送りバント。
三番バッターがショートゴロで、2アウト。
ランナーは二塁の状態で4番の山盛に回ってくる。
体格は野球選手と言うよりお相撲さんみたい。
そしてここからでも背も高いのがはっきりわかるぐらいの巨体だった。
素人目にもいかにも飛ばしそうな雰囲気だ。

注目の対決と私も注目したが、3球目にここまで音が届きそうなフルスイング。
白球が大きく打ち上がり、レフトスタンドの奥の方に吸い込まれていく。

「おお、これは特大だなぁ」

霧香センパイも感心しきり。
梓センパイと翼はキャアキャアと騒いでいる。

「中々面白い展開よね」
「ええ、どちらの選手も頑張って欲しいですね」

愛華センパイと桜庭先生は大人な会話。
ややドルフィンズ寄りだけど、いい試合ならどちらでもいいんだろう。

1回表、バイソンズが2点先行。
その裏、ドルフィンズの攻撃に移る。

バイソンズの先発は橋本投手という大学卒の新人。聞けば今日が一軍初登板だという。
「エースが故障、外国人はパッとしなくて台所事情が厳しいんだよな」
「そんなことはないっ!」
「ないっ!!」
…なんでそこで合わせるんだろう、バイソンズファンの2人。

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