NTR危険予知能力 68
何故思い出したのか分からない。
朝起きた時は殆ど内容を思い出せなかったのにだ。
「二階の寝室っ!タンスの後ろっ!」
僕の叫びにみんな我に返る。
そしてみんなで屋内に飛び込むと、ドタドタと階段を駆け上がったのだ。
僕の叫び通り、二階寝室のタンスをずらしてみる。
壁とタンスの間からは・・・
夢で見たままの茶封筒が出て来たのだ。
「こんな物、掃除した時にはあったような感じじゃなかったのに・・・」
そう言いながら、封筒を開けて中身を確認するエリさん。
そのエリさんが固まった。
「どうしたの?エリ・・・」
マリさんが怪訝な表情で聞くと、エリさんがいきなり笑い出した。
「出来過ぎだわ!・・・権利書が出てくるなんて!」
「権利書?・・・」
怪訝な顔で聞き返すマリさんに大笑いしたエリさんが言葉を続ける。
「私がかつてやらされていたストリップ劇場の権利書よ!・・・旦那と一緒に支配人とダンサーが死んで閉鎖になったんだけど・・・まさかそこの権利書が出てくるなんて思わなかったわ!」
そのストリップ劇場を売るなりすれば借金返済の足しになるんじゃないかと思った。
それはマリさんも考えは一緒のようだ。
「それを処分すれば、もしかしたら・・・」
「残念だけど、処分できないわ」
「えっ?!・・・どう言う事?」
尚も笑いながらエリさんが権利書をマリさんに見せる。
マリさんもそれを眺め、そして驚く。
「売れないわ・・・これは・・・」
「でしょ、これは売れない・・・何故ならレンくんの名義だから」
僕も一瞬固まった。
いや、僕にそんな資産がある訳無い。
僕だけでなく、僕の家もストリップ劇場になんか縁が無い筈だ。
でも、権利書を見ると・・・
僕の名前が書いてあったのだ。
何故か分からない。
どうしてこうなったのかも分からない。
これを持っていたのは元旦那の筈だ。
「帰ったらこの書類が有効かを確認して劇場を見に行ってみるわ・・・もし有効で劇場が使えるなら・・・」
そうか、やっぱりこれはフラグだったんだ。
それでこうなったんだろう。
「私はストリッパーとして復帰するわ・・・レンくんオーナーの元で・・・」
エリさんの宣言に、マリさんも微笑む。
「そっか、その為の調教だったのね・・・私もストリッパーになるわ、エリ」
ストリッパーなら見せるだけで本番は無い。
つまり風俗と言っても性行為やお触りすら無い。
マリさんやエリさんが他の男に抱かれるような風俗に行くよりは全然いいだろう。
「なら、私もやるわ」
ユリさんも決意した顔だった。
「それで借金返済できるならいいと思う・・・でも、エミとユウキは駄目だよ」
「どうしてっ?!」
「年齢的に駄目だ・・・それにユウキは借金とは無関係だしね」
不満げなユウキとエミちゃん。
でも、摘発されるような年齢は正直ヤバいだろう。
しかし、これでマリさん達が本家から自立できる目処がついたのかもしれない。
自分がストリップ劇場のオーナーになってしまった事よりも、その方が大きな事だ。
となると次にすることは何か…
「その劇場だった建物って、今どうなってるんだろ」
「もう何年と行ってないわね」
「閉館後は手付かずで大変なことになってそうね」
考えるエリさんに、マリさんが返す。
「とりあえず私たちで行ってみて、再建の為にできることはやってみようかしら」
「力のいる仕事なら任せてー!!」
ユウキが言う。何を、と思うかもしれないがユウキは普通に力のある女の子だ。
そこから1日早く切り上げて帰った僕達。
そのストリップ劇場は大きなターミナル駅のある隣町の繁華街にあった。
「電気や水道は止まっているけど・・・まるで昨日まで使っていたみたいよね」
劇場はそこそこ広く、思ったより綺麗だった。
エリさんが言う通り、まるで昨日まで使っていたような雰囲気があった。
「控室や事務所も空っぽだけど使えそうね」
マリさんもあちこち見て確認していた。
「手続きとかすれば一か月ぐらいでやれそうかな?」
「それぐらいでお客さんが入ってくれたら返済も間に合いそうよね」
エリさんとマリさんが話をしながらあちこちを確認している。
つまり、やれそうだと言う事みたいだ。
「私とエミはここに住み込みで準備するわ」
「分かったわ・・・私とユリも近いうちに合流するわ」
そう話すエリさんとマリさん。
建物を実際見た事で、ここでストリップショーをする彼女達を見てみたい気持ちがだんだんと湧いて来た。