生徒会日和~Second Season~ 99
僕は投球は止めてボールをグローブに収めた。
「姉さんはちょっと出かけてるみたいなんだ」
「じゃあ待ってていい?」
美幸ちゃんは僕の返事を聞く前に玄関へと歩き出した。
今は玄関は鍵がかかっているので僕が行かないわけにはいかない。僕も玄関に向かって鍵を開けた。
美幸ちゃんとテーブルに向かい合わせで座る。
「中3だよね」
「うん」
「受験勉強、大変でしょ」
「まあ、ぼちぼちやってるよ。桜樹台、今のところ、結構合格確率高くなってるんだ」
桜樹台は県内では割とレベルの高い学校だ。
美幸ちゃんは優秀な子だから心配ないだろう。
「樹兄さん、また野球始めるの?」
「助っ人に来てくれって頼まれてるんだ。部員が足りなくて大会に出るのもやっとで」
「へぇ…渚お姉ちゃんは何か言ったの?」
「いや、特には」
その後しばらくお互いの近況に関する話が続く。
「ねえ、樹兄さん、彼女できたの?」
「えっ、何だよ、いきなり」
それは近況の一つとはいえ、脈略はなかった。
美幸ちゃんはいたずらっぽい目で僕を見ている。
「去年、樹兄さんが風邪ひいたとき、手伝いに来てた生徒会の人、よさそうな人たちばっかりだったね」
そういえばあの時はまず美幸ちゃんが看病しに来てくれたんだっけ。
そこから当時の生徒会の皆さんと電話してて、家に来てくれて…あの当時はまだ本格的に歩さんと付き合い始める前だったと思う。
「美幸ちゃんがそう思えたなら、嬉しいな」
「で、あの中にいるんでしょう、彼女」
「まあな」
美幸ちゃんだったら特に隠す必要はない。
「もう結構ヤりまくってるの?」
「ええっ?!」
さらにニヤニヤして言う美幸ちゃん。
「美幸ちゃんがそんなこと言うとは思わなかった」
「いつまでも子供じゃないんだよ」
美幸ちゃんはそれを強調するかのように胸を張った。