生徒会日和~Second Season~ 98
「ふあっ。ああ……おはよう樹くん」
トロンとした目つきで蜜恵さんが微笑む。ちょっと天然ないつもの蜜恵さんに戻ったような。
「早く服を着たら?」
「ふふ、凄かったよ、樹くん」
蜜恵さんはゆっくり身体を起こして下着をつけ直す。
お互いに、服を整えて、念のため、ばれないように、別々に校舎を出た。
帰ったら、幸いというか、姉さんもどこかに行っているのか、誰もいなかった。軽くシャワーを浴びた後、改めてグローブとボールを取り出す。
改めて、壁当て、やろう。
昔、姉さんから剣道を勧められる前いた少年野球のクラブチームもあまり強くなくて、人数もそんなに多くはなかった。なので一通り全部のポジションを守った記憶はある。今回はさすがに投手をやってくれとは言われないだろう。
懐かしい感触だ。
伯父さんとのキャッチボールを思い出す。
投げながら、僕は、来るべき、野球部へ行っての行徳との試合をイメージしようとしていた。
少なくとも出てくるだろう水瀬っていう怪物。どのくらい、でかいんだろう…
僕にできる貢献って、何だろう…
そう考えながら、リズミカルにボールを投げて受けていた。
「悪くない」
去年、体育の授業でソフトボールがあったけど、それもそこそこできたし、今も身体自体は鈍ってなさそうだ。
肩や肘が痛むこともない。
だんだん空は薄暗くなっていくが、その間も僕はテンポよくボールを投げ続けた。
「あれ?樹兄さん、野球?」
「ああ、美幸ちゃんか」
従妹の美幸ちゃんが家にやってきた。
「どうして美幸ちゃんが」
「渚お姉ちゃんが帰ってきてるって聞いて」