生徒会日和~Second Season~ 92
「皆さんで旅行とかいいですねぇ」
「この人(写真に写る茜さんを指差して)の家族が持ってる別荘でね、生徒会のみんなでワイワイ泊まりでやったんだよ」
「姫さんもいますね」
「そう」
隣の白川さんも身を乗り出してスマホの画面を見ている。仲の良さを感じられたらいいだろう。
「…なんか…楽しそうですね」
「うん!楽しいと思うよ。だから、生徒会役員になること、考えてくれない?」
「うーん、ちょっと、考えてみます」
その語調には、ある程度前向きなものが感じられた。
「ところで…梓さん…曽根さんには、会った?」
最初に新聞に載った以上、梓さんも白川さんに注目しているはず。
「ああ、曽根先輩…」
念の為、僕はスマホで夏休みの旅行の写真で梓さんが写ってるものを選んで白川さんに見せる。
「一度、声をかけてもらった…っていうか、よろしく、くらいなんですけど…」
「まあ、いきなり深くは話さない人だからね」
「割と単純な人だとは思います」
佐奈ちゃんが言う。その梓さんにケンカを売ろうとしてた君もなかなか…
「僕が生徒会長になったら、なるべくみんなの声が通るようにしていきたいと思ってるんだ」
これは、自分でも驚くくらいにすんなり口から出てきた。
「…あ、あの、私、いいとかよくないとか言う立場じゃないですけど、やっぱり意見を聞いてもらえそうな方が、いいです」
白川さんがうつむきながらそう言ってくれる。
「ありがとう」
時計を見ると、もう昼休みは終わりに近い。
僕は白川さんと無料通話&チャットアプリのIDを交換した。
食堂から出て行く際に、笑顔で手を振ってくれた佐奈ちゃんと、ペコリとお辞儀して、その後少し笑顔も見せてくれた白川さん。2人とも心強い戦力になってくれるのは間違いない。
その日の授業後、剣道部は軽いミーティングだけで終了。午後から雨が降ってきたので野球部もグラウンドにはいなかった。
「樹くん、今日はもう帰り?」
靴箱のところで声をかけてきたのは蜜恵さんだ。