生徒会日和~Second Season~ 85
そう、あの先生方、姉さんと同じ時期に生徒会役員だった。
想像しづらかったけど、そう姉さんだって、先生方だって、昔は高校生だったんだ。
僕にとって相棒…やっぱり、早紀さん、梓さんかなぁ。
少し、頭の中でそんなイメージが持てるようになってきた。
「樹は私より賢いだろうし、きっとうまくやれるわ」
「いや、姉さんの成績には勝てなかったはずじゃ」
「勉強だけじゃないかなぁ。それに樹は裏で嫌われてそうな気がしないな。私なんて、散々脳筋女だなんて馬鹿にされたもん」
姉さんの頃って女子高だよね、女子同士の噂話ってなんか怖いな…
「………んん」
玄関からドタバタと言う物音が聞こえる。
「お母さん帰ってきたわね?なんか珍しく焦ってない?」
「それは姉さんがいるからじゃないかな」
「渚、おかえりなさい。元気そうでよかった」
やや急いで入ってきた母さんが言った。
「お母さん、ただいま。ご無沙汰してごめん」
その後は、お母さんが買って帰ってきた持ち帰りの寿司を食卓に並べた。
「ご馳走って言ってもこの程度しかできないけど、ごめんね」
「いいよいいよ、お母さんだって仕事が立て込んでるなら無理しないで」
僕らの母ー穂積香は、職場で多くの部下を従え育てる役割もあると以前から聞いていた。母さんは会社では初めての女性の幹部社員らしい。
「一週間くらい休みだから、その間は私が家事まとめて面倒見るから」
「それじゃ渚が休まらないじゃない」
「いいのいいの」
それからしばらくは母さんと姉さんの社会人同士の話になる。全部理解できる訳ではないが、姉さんは大変ながらも毎日充実しているようだった。
「…ねえ、お母さん、樹、生徒会長になるかも知れないって、聞いた?」
「えっ、初耳」
母さんは僕の方を向いた。
「そんなこと言ってなかったじゃない」
「いや、母さん、忙しそうだし…」