生徒会日和~Second Season~ 76
「見た感じ普通のホテルと変わんない?樹くんって誰かときたことある?」
「あ、あぁ、まあ…」
「うん?…………あぁ、別に隠すことないよ。歩さん以外の人でも、特に詮索しないし、責めることないって。だって私も、その、同罪じゃん」
「…………ですかね」
「樹くんとは一度きりのつもりだったんだけど、ごめん。私の心が弱いばかりに」
「弱いなんて、言わないで下さい。僕も、早紀さんに、頼ったから、今日、会ったんです」
僕は早紀さんの両手を握った。早紀さんは眼を閉じた。そのまま、キスする。
唇が離れた後、早紀さんはやや下を向いて、言った。
「こういうとこ、フィクションでは、読んだことあるの…まず、シャワー、浴びるんだって…浴びてきていい?」
「ええ、いいですよ」
こういうところに来るのは二度めだ。菜摘さんとの時はお互いに勢いもあったと思う。今は、その時よりも心に余裕がある。
「お先に。樹くんもシャワー浴びたかったら入ってきてもいいからね」
僕はベッドに腰掛けながら扉の向こうに消えていく早紀さんを見送る。
僕は、どこかで読んだ文章を思い出していた。こういう場所では男が先にシャワーを浴びた方がいい。後に浴びると、裸かそれに近い女の子を待たせることになってしまう…
だからと言って、シャワーを浴びないと、シャワーを浴びた早紀さんに対してはよくないような気がする。
すると、一緒に浴びさせてもらうのがいいか。
思い立ってすぐに腰掛けていたベッドから立ち上がり、早紀さんのいるシャワールームに向かう。
水音と早紀さんの鼻歌だろうか。中から聞こえてくる。
脱衣所には丁寧にたたまれた制服と下着。あの一度きりのはずだった際は早紀さんは上は着たままだったから初めて裸を見ることになる。
僕も制服と下着を脱いで、シャワールームの中に入る。