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生徒会日和~Second Season~
官能リレー小説 - 学園物

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生徒会日和~Second Season~ 74


言われてみれば確かに…早紀さんは1年生のみの開票速報では全く名前を聞かなかった。

「僕もそこまでではないですけど」
「でも、宣伝というか挨拶には行ってるでしょ」
「ええ」
佐奈ちゃんや藤原くんが少しでもPRしてくれれば、伝も広げることができるだろう。

 「うん、じゃあ、大丈夫と思う」
 「ありがとうございます」

 「あとは…自分の願いを、声に出して言ってみる」
 「えっ?!」
   願い、って、何だろう?
 「あの、やっぱり、強く生徒会長になりたいのか、っていうと、微妙なんですけど」
 「でも、こうだったらいい、っていうのはあるでしょ…ビラ配ってるんでしょう。そこになんて書いたの?」
 僕が書いたんじゃないんです、とはいいにくい。でも、内容はさすが僕の近くにいつもいるクラスメートだけに僕にとっても違和感のないものだった。

 『あなたの声を活かす生徒会』

これは茉莉亜さんが書いたキャッチコピーだったと思う。あなたの声を活かす…歩さんが作ったという目安箱、あれは歩さんの卒業後も校内に設置し生徒からの意見・疑問・悩みを募っている。

「これはとってもいい一文だと思う。樹くんが歩さんの正統な後継者だってわかるし、私もそうあってほしいと思うんだ」
「あぁ……確かに、それは僕も思ってます」

 それでも『歩さんの正統な後継者』という言葉を他の人から言われたのは初めてだった。これは、僕の胸に強く響く言葉になった。
 「…改めて、そう言ってもらえると、とっても勇気が出ます。ありがとうございます」
 「それは、よかった」
 早紀さんはにっこり笑った。

 お互いのコーヒーはもう残り少なくなっていた。
 「きょうは、本当にありがとうございました。助かりました」
 すると早紀さんはやや乗り出して顔をこちらに近づけて小声で言った。
 「ねえ、よかったら、このあと、もう少し一緒に、いる?」

「えっ?」
一瞬早紀さんの言ったことが理解できず、キョトンとなった。
「うん、聞き方がまずかったかな、樹くん、もう少し時間ある、かなって」
「大丈夫ですよ」
「よかった。じゃあ、もう一軒寄っていこうか」
「一軒?」
早紀さんはニコッと笑った。

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