生徒会日和~Second Season~ 64
「ええっと…」
瑞樹さんは顎に手を当て、うーん、と何やら深く考え込む。
本人はとても必死なのだろうけど、なんだか微笑ましい。
「生徒会長になる人?」
「いや惜しい……まだ決まったってわけじゃない…」
僕らのやり取りを見て、こんどはさとみさんが近寄ってくる。
「仲良しですなあ」
「いやまあ……色々教えてあげてるだけですよ」
「そう…君、麻生 瑞樹さん、学校新聞載ってたね」
「誉先輩、それは、ちょっと、恥ずかしい…です…」
「恥ずかしいことなんてないよ。で、どんなインタビューだったの?」
「ええと…」
瑞樹さん、ちょっと首をひねるような仕草をして、話し始めた。
「…合格発表の日、いきなり『麻生 瑞樹さんですか』って呼び止められて…」
入学の前から新聞部の取材とは、瑞樹さんの知名度もすごいが澪さんもよくやるものだ。
「剣道のこととか、いろいろ…聞かれました」
「天才剣道少女ってね」
「それは……恥ずかしいです…」
瑞樹さんは俯いてしまう。
「取材してきた先輩が中学も一緒だったと聞いたので、ビックリしたけど…」
そういえば、そんな話も聞いたような気がした。中学の時から噂を聞いていたから、知っていたということなのかもしれない。
そのうち休憩時間が終わって素振りに戻る。
ふと瑞樹さんを見ると、やはり素振りしている姿も少し姉を思い出させる。
彼女がいろいろと優秀だと、弟の一樹くんは比べられて劣等感を抱いてしまうのもしょうがないのかな、と思う。
僕も姉にはかなわない、と思うことが昔は多々あった。
そういえば、早紀さんも姉…真希さんと比べられて、頑張って追いつこうとしたことがあったって言ってたっけ。
早紀さんの場合は真希さんから無理しなくていい、と言われて自分のペースでやる、と変えたらしいけど。
「そういえば、彼女の弟くんは結局どうなったか、穂積くん知ってる?」
素振りをする瑞樹さんを見ながらさやか先生が尋ねてきた。