生徒会日和~Second Season~ 61
「え、そうなんですか」
「僕自身も、剣道部と生徒会本部を掛け持ちしている」
「ほんとですか?じゃあ、瑞樹、姉には会いましたか?」
「いや、まだ会ってない」
「そうなんですか、姉が剣道部に入ったのか気になるんです」
「それが、まだなんだけど」
「えっ、そうですか…姉は剣道部に入部するのにかなり積極的でしたし、腕前の方も僕より全然…」
「家で会話とかしないの?」
「まあ、多少は…」
少しきょうだいの仲を心配してしまう。僕自身もそうだっただけに。
ひょっとして……彼は野球部と剣道部の両方入ってもらうのは、やめた方が彼のためかもしれない。そう思った。
ずっと姉と同じ分野で不利な戦いを続けて、悔しい思いをし続けてきて……
あまり瑞樹さんと話をしてないのも、それが影響しているのだろう。
……よし。
考え込んでいた僕を見て、一樹君が不思議そうにしている。
「あの、穂積さん?」
「質問していいかな?」
「何でしょう」
「剣道と野球以外で、何かしてみたいと思ってたことはあるかな?」
彼はその質問が予想外だったのか、一瞬だけきょとんとしてから考え始めた。
「…それって、もしかして、姉と違うところの方がいいんじゃないか、っていうことですか?」
「うん、そんな感じ」
よかった。僕の考えたことが伝わった。
「そういう意味なら、姉がやってない野球に力を入れることが、よさそうな気がします」
その答えが聞けて、僕もホッとした気持ちになる。
彼に無理をさせてなにもかもダメな方向に行ってしまったら僕だって責任を感じてしまうからな…
「いずれ僕も野球部の練習には参加する予定だから」
「はい」
「お互いいろいろ頑張ろう」
「はい、よろしくお願いします」
…彼の素直な気持ちが僕にも影響を与えたのは、まだ内緒にしておこう。