生徒会日和~Second Season~ 60
心の底から幸せだってわかる笑顔。
佐奈ちゃんみたいな可愛い女の子は、いつもこういう顔をしていてほしいって思うなぁ。
「それならよかった」
「えへへへ」
「佐奈ちゃんの力を借りることも、あるかもしれないなぁ」
「私でよければ、何でもしますよ!」
本当に頼もしい子だ。
佐奈ちゃんとそんな会話をしている間に、ランニングを終えたとみられる麻生くんがこちらに向かって走ってきた。
ジャージに名前が書いてあったからそう分かった。
「佐奈ちゃん、こんなところでどうしたの?」
彼は汗を拭きながらそう言った。佐奈ちゃんがここにいることをまず不思議に思ったようだ。
「穂積先輩が話があるんだって」
佐奈ちゃんは手振りでこちらを示した。
「あ、やはり、穂積先輩でしたか。どこかでみた方だと思っていました」
そう言い、はにかんだ笑顔を見せる麻生くん。
思ったよりも感情豊かな子なんだな、と感じる。
どこかで、ということは彼も生徒会選挙の説明のときとかに体育館にいたのだろう。
「はじめまして」
「こちらこそ」
「昼休みにトレーニングなんて熱心だね。部活に入るために備えてるわけだね」
「ええ…一応。本当はまだ、迷ってるというか…」
麻生君はそう言った後、やや小さい声で佐奈ちゃんに聞いた。
「穂積先輩、どこまで知ってるの?」
「結構全部知っているみたい」
佐奈ちゃんも小声でそう答えた。
佐奈ちゃんとは、麻生君について具体的な話はほとんどしていなかったはずなので、藤原君から聞いたのだろう。
「ええと、穂積先輩、野球部の勧誘に回っている、っていう噂を、聞いてます」
「うん、まあ、そうだね」
「僕に期待してもらっているのは、素直に嬉しいしありがたいのですけど…」
「なんとなくわかる。剣道部の方と迷っているんだね」
「そこまで知っているんですね」
「兼任でも何ら問題ない。実を言うと僕も野球部からそういう話をもらっているからね」