生徒会日和~Second Season~ 48
室内に、一瞬だけ沈黙。
何かいけないことでも口走ってしまったかと少し不安に苛まれたが、武並先輩が口角を緩めた。
「ありがとう。これで決まりね」
…マイク入ってますけど、大丈夫ですか?
「これで舞台は整ったわ、1週間後に梓と穂積くんで生徒会長選挙決選投票を行います。どちらが勝っても恨みっこなしの最終決戦、多くの生徒の参加を待ってるわ!!」
「そして、もう一つ提案」
マイクの前でそう言った後、武並先輩は梓さんと僕の方を見た。
「決戦投票の前日、体育館で二候補の演説会をやるのはどう?曽根候補、穂積候補?」
体育館で演説会…こないだの新入生向け説明よりもっともっと多い人数の前で話すのか…
「私はもちろんオッケーだぞっ」
梓さんはあっさりと言い放つ。
当然、それに続くように、と僕に室内の視線が集中する。
「ええ、やりましょう」
ここまで来たらもうどうにでもなれ。そう言った気持ちも沸く。
「よし、樹」
梓さんがこちらに手を差し出す。その手をしっかり握った。
放送室を出て、僕は生徒会本部室に荷物があるので、ひとり本部室に向かった。
スマホを見ると、歩さんからメッセージが来ていた。
"梓と決戦投票なんだって?"
早くもその話は伝わっているようだ。
「そうなんだよ。予想外の展開になっちゃって」
すぐに返信する。
歩さんも聞きつけるのが早い。誰かが教えたのだろうか。
「桜樹台の歴史に名を残そう、樹!」
「いや、不安しかない…先頭に立って何かをするってこと今までになかったから…」
すると…歩さんからのメッセージは意外なことに。
「週末に作戦会議しよっか。もしくは樹に私からのアドバイスも。2人きりで会いたかったしね」