生徒会日和~Second Season~ 37
唇を重ね合わせながら僕は菜摘さんの身体をそっと手のひらでさすり続けた。
彼女はきっと未知の領域に踏み込もうとして、多少無理をしているかもしれない。
ここは僕がリードすべきだろう…
「好き」
菜摘さんの不意の言葉に思考が停止した。
「菜摘さん…」
「樹くん…私に、もっと、知らないこと、教えて…」
僕と菜摘さんは、気持ちのままに改めて強く抱きしめ合った。
抱きしめ合っている間に少し思考を回復させた。
この場所は人通りがゼロではない。さすがに、ここでこれよりあとに進むことは躊躇しなくてはならない。
もう少し下流側に歩くと、インターチェンジがあったはず。あのインターチェンジの周りには、確か…
「菜摘さん」
抱きしめ合いながら僕は彼女に声をかけた。
菜摘さんの初めてが外で、というのはちょっとアレなので…できるならもうちょっと歩いて…
「ちょっと移動しよう」
「お金大丈夫?私も出すから…お願いしたのはこっちだし…」
お金の心配をしていたわけではないので、僕は無言で…それはとても自然に…菜摘さんの手を引いて歩き始めていた。
5分ほど歩いただろうか。僕たちはインターチェンジ付近に来た。僕は一番初めに目についたそれっぽい建物のドアの前に立った。菜摘さんは特に何も言わなかった。
いくつかの部屋の写真が明るく灯っていた。その中から、どれか行きたい部屋を選ぶようだった。
ここは菜摘さんに任せてみた。
数ある部屋の中から菜摘さんは選択肢の中から割とシンプルな感じの部屋を選んだ。
「樹くん…私のワガママ、聞いてくれてありがと…」
「ワガママなんて…菜摘さんが彼と上手くいってくれたら」
部屋に入る。
僕に身を寄せてきた菜摘さんを抱きしめ、唇を重ねた。
さっきよりずっと長く。