生徒会日和~Second Season~ 36
「私、彼から、求められたら、どうしよう、って思ってる」
「それは…菜摘さんが、いいと思ったら、いい、思わなかったら、待ってもらう、でいいと思う」
菜摘さんはやや僕の方に寄った。
そして小声で聞いた。
「先輩と、はじめてのときは、どんな感じだったの?先輩、最初は断ったりした?」
菜摘さんから聞かれて、僕は歩さんとの初めての時を思い出す。
確か…放課後の生徒会室。
「んー、いや、むしろ歩さんの方から誘われた、的な」
「えっ、そうなんだ」
菜摘さんはちょっと驚くように言った。
歩さんは僕にとって2人目の経験。
「こっちから誘うのも…なんかなぁ」
「無理しなくてもいいと思うけど。親密な仲になれば、自然とそう言う思いが生まれてくるんじゃないかな」
「樹くん…」
菜摘さんが、完全に僕の方にしな垂れかかってきた。
菜摘さんはさらに小声でささやいた。
「あのね…私、穂積くんが、もしも望むなら、穂積くんなら、いいかな、って思うんだ…そうしたら、彼とも、考えられるかも、しれない…」
「菜摘さん…」
「予行演習…こんなことまで、考えちゃって…もちろん、穂積くんが嫌だったら、いいけど…」
菜摘さんが肌を寄せてくる。
心臓の鼓動が少しずつ早くなってきた。
実際、ほんのわずかな可能性だったが、菜摘さんともそうなるのでは、と考えていた。菜摘さんは僕に、そっちの方でも期待して身を任せてくれるなら…
「僕でいいの?」
「穂積く………樹くんだから、言えるの…」
改めて菜摘さんを見る。
菜摘さんは、目を閉じてこちらを向いて静止していた。
これは、キスして、っていうことなのだろう、と思って、僕は躊躇を振り払って、唇を、合わせた。
そのあと、今度は菜摘さんの方から唇を合わせてきた。