生徒会日和~Second Season~ 34
「あそこどうだろう?」
しばらくモール内を歩いたあと菜摘さんは言った。パスタ店だった。ショーウインドウのメニューの値段を見るとまあまあ手頃そうだった。
「そうだね。ここにしよう」
入店まで何人かが椅子に座って待っている。僕たちも最後尾に座った。
待っている人は若いカップルが多い…僕たちも、他の人から見るとカップルに見えるのだろうか?と僕はふと思った。
「うわ…」
空腹でお腹からぐうぅ、と低い音が響いてしまう。
今朝は少し遅くに目覚めてしっかり朝食を食べていなかったのだ。
菜摘さんと一緒に結構歩いたしな…
幸いその菜摘さんには聞こえていないようで。
「誰かと一緒なら待つのも楽しいよね」
「まあ、そうだね」
並び始めてから10分くらいで僕らも席に案内される。
お腹が空いた僕は大盛りを注文した。
菜摘さんも注文してしばらく待つ。
「柏原先輩とよくこんなふうに食事するの?」
「いやあ、あんまりなかったかな」
「そうなんだ」
「高校で会ってたからね」
歩さんとは学校で会って、そのあと、という流れが多かった。
何度か商店街とか公園とか、あと図書館とかに行くデートみたいなこともあった。
食事もしたな…確か。
「先輩のためにいいお店を調べたりとかしたの?」
「いや、特には。歩さんはよく食べる人で、質より量、みたいなところもあったから。一緒に食事する時、ほとんど大盛りだったような」
「すごいね」
注文したメニューがやってきた。
菜摘さんの方が先だ。
「あ、先どうぞ」
「ありがとう、じゃあ、いただきます」
菜摘さんはフォーク一本でパスタをきれいに巻いて口に運んでいた。
「食べ方うまいね」
「そお?うち結構その辺は厳しいからかなあ」
そのうちに僕が注文した大盛りが来た。
「僕だと、こんなふうに、スプーン使って巻いてるよ」
僕はそう言ってスプーンとフォークで食べ始めた。