生徒会日和~Second Season~ 22
寮に住んでいる男子も数人いるらしい。姫さんとは前に話した時、顔を合わせて会話もしたと聞いた。姫さんは気さくな人だからきっと大丈夫だろう。
「くふふ、その麻生と我らが樹くんの力を合わせれば、行徳だろうが一泡吹かせられるんじゃねーかぁ?」
「そううまくいくわけがないって」
会話に割って入るテンションの高い声。
我がクラスのやかましい奴……もといムードメーカーの小坂井茉莉亜さん。
(なお双子の妹の方。姉の茉莉花さんも同じクラスである)
「我らの最強メンバー、って言ったって、まだ参加してくれるかどうかもわかんないじゃん。まず、出だしからして『もし、みんな来てくれたら』が入ってる。『もし』が多すぎるんじゃね」
それは、僕もすごくそう思う。図星と言ってもいい。でも、それが言葉になったことで、逆に僕の中では、スイッチが、入ったような気がした。
「よし、その『もし』を、一つ一つ、取り除いていこう」
「おおっ、樹くんがヤル気になったぁ!」
「それでこそよ」
まずは野球部以外に所属する有望そうな1年生に声をかける。
もちろん顧問の先生にも相談したうえでいい返事をもらえれば今度の行徳との試合で助っ人として出場できるだろう。
麻生一樹……彼は一番最後に回そう。
ちょうど祐くんからも反応が来た。
内容はまあアレだが、とてもポジティブな答えが来た。
意訳すると、今日の練習に寄ってやってもいい、的なことも書いてあったので、ぜひ寄ってくれ、という内容の返信を出しておいた。
声をかけるにあたり、僕は改めて対象者を眺めた。
彼らが今入っている部活は、他の運動部、文化部、帰宅部、不明、と様々だった。
彼らの野球における能力がどうとか、ポジションはどこが守れるか、などは交渉結果次第となるだろう。そこは田原や長山さんにも相談しながら、にもなる。
対象者の一人に、同じクラスの男子がいた。
「あぁ、僕が野球部だってこと、知られちゃったわけだ」
「ごめんね、ちょっとした依頼を受けたから」
瀬戸祐誠くん。眼鏡姿でいつも難しそうなハードカバーの本を読んでる彼が、野球経験者だとは失礼ながら想像できなかった。