生徒会日和~Second Season~ 18
「穂積が来てくれたから相談したいことがあったんだ」
「何だ?」
「今度の春の県大会…初戦で行徳学園と当たることになった」
「ぎょ、行徳!?」
行徳学園。
うちの県内でも最強と呼ばれる私立の強豪校だ。
「トーナメントだからなあ、ああ、いきなり一回戦敗退かぁ、ってみんな諦めきってるんだ」
「そうかあ」
「それでも、少しでも、あがけないかなあ、と思って…今年の一年、部員の中学つながりとかでなんとか集めたけど、穂積、生徒会権限で、野球強そうな一年…二年でも…もう何人か探せないか?」
相手が相手だけに初戦敗退、はもちろんだが5回までに何点で抑えられるかが心配材料でもある。
(5回までに10点差以上だとコールド負けだ)
「こっちでも当たってみるけど、1年はともかく2年はちょっと厳しそうだと思う」
「だろうなぁ…公式戦だから曽根先輩たちを頼れないからなぁ。どうせなら穂積に出てもらいたいくらいだしな」
「まあ……それは今のとこはノーコメントで」
家に帰り、相手の行徳学園について調べてみる。
「水瀬慶太、野間潤貴、林遼太郎……1年夏からレギュラーで甲子園でも活躍した2年生が中心か…」
とくに水瀬慶太って、甲子園登場時に「規格外の男 登場」のように騒がれたのだった。
守備力、俊足、何より本塁打数…
一年のうちから“高校卒業したら日本のプロ野球なんて飛び越えてメジャーリーグに挑戦する、とか言うのではないだろうか”と言われるような怪物だ。
もし、僕がうちの野球部の監督だったら、奴を相手にどうするだろう…四打席連続敬遠、とかなのかなあ…
…随分前に、実際に夏の甲子園大会でそんなことがあったなと思う。相手チームもそれなりに強豪だったがかなりの批判を浴びた。
全打席敬遠された選手はその後NPBはもちろん、MLBでも大活躍したスタープレイヤーになった。
そもそも、うちのような弱小校が相手なら、彼みたいなレギュラー選手を出さなくても、控え選手だけでも勝てるって思って臨んでくるかもしれないよな…