生徒会日和~Second Season~ 142
近くなるとますますデカさを感じる。僕はちょっと恐怖のようなものを感じ、身震いした。
水瀬はこちらや他の人を特に気にも留めず、画面に目を向ける。
画面では、中継が始まる前のポイントとなる場面をいくつか映していた。
「…さあ、現在2対1でホークス一点のリード。バファローズの攻撃は…」
バファローズは「いてまえ打線」と称されるような強力な打線が持ち味のチーム。
対するホークスは層の厚い投手陣で守り勝つチームだ。
『先発のムーアがここまでバファローズのクリーンアップを完璧に抑えています』
『この回に打順が回ってくる彼らでなんとかしたいですね、ホークスはリリーフ陣も優秀ですから』
『さあ、6番、サード 中川圭です』
『プロ3年目、去年は期待されながら怪我で一時戦線離脱していました…』
彼は、一球目にヒットを打ち、出塁した。
球場のバファローズの応援が俄然盛り上がっていく。
“そういえば、歩さんって野球好きかな…いつか一緒に応援に行けたらいいな”
「失礼します」
「ああ、はい」
なんと水瀬が隣に腰かけてきた。
ガタイはデカいが顔立ちはまあ、普通の同年代男子といった感じだろうか。
しばらく同じ画面を見続けていた。
「時間まだ大丈夫?」
「うん」
「私も、大丈夫です」
長山さんが見ていたいなら、僕も付き合おう。
画面は7番打者 青林を迎えたところでCMに入った。
僕は水瀬の隣で緊張していた。でも、もし、話す機会があるとすれば、今以上の機会はないであろう。僕は、不安げに長山さんを見た。長山さんとたまたま目が合って、長山さんはニコっと笑った。
よし…
「あの…」
水瀬は重々しくこちらを向いた。
「行徳の、水瀬…選手、ですよね」