生徒会日和~Second Season~ 140
僕達、他に見に来ているらしい人も含め、みな息をのむ。
長山さんは服の中で何か手を動かした。こっそり動画を撮っているようだ。
さらに続けて4球、同じ速さの球が投げられる。流石に、百発百中、とは行かなかったが、そのうちの一球を打ち返した。
“5球で2安打…4割か…”
それだけ打てたらプロでも凄いレベルだ。
しかも打球速度もかなり速い。金属バットに当たった瞬間目で追えないほどの速さでボールが飛んでいった。
「そろそろ行くかい?」
「お願いします!」
店主のおじさんの声に水瀬が反応する。
さっきのは肩慣らし程度で、ここからというわけか。
店主のおじさんが操作し、その、150kmの球が、発射される。
一球目は…空振り。
しかし、二球目は、
カン…
音を立てて、水瀬はそれをそのバットに当て、ボールは飛んで行った。
「おお、さすがは水瀬くんだね」
店主のおじさんがそう言って彼に近づく。
「今度はこっちで打ってみるかい」
「いいですね」
おじさんが水瀬に差し出したのは木製バット。プロで使用するものだ。
「ヘルダイバーズの平沢選手が使ってたものでね」
「本当ですか?ちょっと使うのがもったいないような気が…」
「平沢選手!」
長山さんも独り言を言っているが、僕ももちろん平沢選手の偉業は知っている。
躊躇していたようだった水瀬だが、しばらくの後にはその木製バットを持って打席に構えた。
「140Kmにするか」
「いえ、150kmでお願いします」