生徒会日和~Second Season~ 138
この日は、その後は歩さんと何往復かメッセージのやり取りをしたくらいで床についた。
翌、日曜日は久しぶりに特になにもない日だった。
遅めに起きて、朝食は一人で食べたあと、ボールの壁当てを始めた。
だいぶ、以前の感覚が戻ってきている気がした。
「もうちょっと、別のことを始めたほうがいいかな…?」
正式な部員ではないのだから、そこまで本気にならなくてもいいじゃないかと言われるかもしれない。
だが、野球部の連中のこと、これからの部活動の在り方なんかを考えたら、少しでもまともな試合をしたい…たとえ強豪が相手だとしても、だ。
「おっ、お兄さん頑張ってるねぇ」
「ああ」
壁の向こうから美幸ちゃんが顔をのぞかせる。
「壁当ても大事だけどさ、もっとこう、生きたボールを打つってのもいいと思うよ」
「生きたボール?」
「バッティングセンター行ってみるとかね」
「バッティングセンター…」
あまり、考えたことがなかった。
「どこにあったっけ?」
「ほら、駅の近くに」
そう言われれば、あったような気がした。
「ああ、あったな…行ってみるか」
「私も行っていい?」
「いいけど…」
「ふふっ、やったあ、樹お兄さんとデートだあ」
「いや、そんなつもりは…」
ちょっと準備してくる、と言って美幸ちゃんはその場を去っていく。
「まったく」
あの日の朝のことを少しだけ思い出した。
それでちょっとだけ下半身は反応したりしたが、それは頭から振り払った。
二人で歩いてバッティングセンターに向かう。
「あれ、穂積君、久しぶり!」
「長山さん…」
バッティングセンターに着いたら野球部マネージャー、長山みなみがいた。
「デート?」
「いや、これ、いとこなんだ」
「そうなんだ」
「ところで、長山さん、なんでここに?」
「行徳の選手が来そう、って聞いて情報集めに来たの」
「行徳の、何で?あの学校なら校内でいくらでも練習できるんじゃあ?」
「このご時世だから、週一回くらいは部活休みにしなきゃらしくて、それで自主練」