生徒会日和~Second Season~ 120
歩さんにまっすぐ見つめられてそう言ってもらえると、やっぱり、誰に言われるより、胸高鳴る。
「歩さん、ありがとう。うん、そう言ってもらえて…その、すごく嬉しい」
「それで、情勢的には、樹はどう考えてるの?」
「五分五分。ほとんど互角だと思ってる。梓さんとはどっちがなっても恨みっこなし、というか一緒に生徒会をやっていくことには変わらないわけだしね」
「樹がここまでの支持を得られるなんて、私としては去年指名した甲斐があったわ」
「去年の今頃はまさかと思ったよ」
「樹がいなかったらダントツで梓だったのかな。早紀ちゃんも頑張り屋さんだけど、あの子はちょっと心配なとこもあったからね」
「実は、早紀さんは、僕が会長の方がいいって、言ってくれて」
そう言いながら僕は早紀さんと関係した日を思い出してちょっと後ろめたくなった。僕はそれを隠すように目の前のアップルジュースを飲んだ。
「そうなんだ。ちょっと、早紀ちゃんらしいかも」
歩さんは話を続ける。
「早紀ちゃんは前に立つより後ろでサポートするタイプ。そのへんは真希と同じなんだよね、やっぱり姉妹だ」
「真希さん、県外の大学に行ったんでしたっけ」
「うん。たまに連絡くれるけど、すごい難しそうな論文片手に何かやってたりしてる…あの子、理系だからね」
僕の頭の中に、白衣を着て、片手に論文のプリントアウト、もう片手に試験管を持っている真希さんのイメージが浮かんだ…すごい、似合ってる…
そう、難しい理系のことやってても、社会を動かす人って結構文系…と思うと、やっぱりサポート的存在なのだよな…
でも、僕って、文系で、例えばT大法学部とか行って、そして社会を動かしていくような、存在を目指しているんだろうか…