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風紀委員Girls!
官能リレー小説 - 学園物

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風紀委員Girls! 989

表示されているもの、それは樹龍市の地図だった。
樹龍市はどういうわけか不良少年が集まりやすい環境である。当然高校同士の紛争すらも多発した。
この令和の時代にそんな血気盛んな雄臭い争いが未だにあるのだ。
その理由が解明されようとしていた。
「やはりな」
男は納得するように呟いた。
男が見つめる画面にはグラフが表示されていた。その数値は明らかに異常な値を刻んでいる。
まるで、この街の空気そのものが妖力に汚染されているかのように。
男は懐から一枚の写真を取り出す。そこに写っているのは一人の少年。
まだ幼さを残した顔立ちだが、意志の強さを感じさせる瞳をしている。
男は写真を見つめながら、ある決意を固めた。
それは今の状況を変えるための決断だった。
「よし、すぐにでも手を打つぞ」
男の一言により、その場にいた全員が緊張する。だが、それと同時にどこか高揚感のようなものがあった。
「…ついにですか?」
誰かがそう問いかけると、男は静かに首を縦に振った。
「ああ、もう悠長なことはいってられん。これ以上放置しておけば取り返しのつかないことになるやもしれん。そうなる前にリストアップしてある男子高校生達からサンプルを採集しなければ」
机の上にはいくつかの資料が置かれていた。そこには樹龍市内の不良少年達の名前が記載されている。
「しかしよろしいのでしょうか?我々がこのようなことをしても…」
「構わん。これは世界のためでもある」
迷いのない言葉だった。
「我々は何としても奴らの力を解明しなくてはならないのだ。そのためには多少強引な手段を用いても仕方ないことだ」
「…わかりました」
部下の一人が同意すると他の者達も同じ意見だとばかりにうなずいた。
「よし、では早速準備に取り掛かるぞ」
男の言葉と同時に彼らは動き出した。
樹龍市に隠された秘密を知る者はまだいない。
樹龍市高等学校対抗男子水泳大会、それがサンプル採集のための舞台であった。そうとも知らずに集められた男子高校生達が整列している。誰もがきわどい競パン一丁という格好をしており、その表情は真剣そのものといった様子だ。
「これより第一回、男子水泳大会の開会式を行います!」
司会進行を務める男性の声が響く。彼こそがこの計画を進めた男、志水である。
彼の挨拶に対して会場からはまばらな拍手が送られた。
彼等は競技には真剣に取り組むつもりではあるがそれもあくまで学生レベルであり、そこまで本気で取り組む必要はないと思っているからだ。
そんな彼等の姿を密かに撮影し、様々な分析をしていく。モニターに映し出された彼等の映像に被さるようにいくつものパラメータが表示される。
それは彼等から放出される妖力を測定しているものだ。
志水の予想通り、この場にいる全員の妖力は一般人と比べてかなり高い水準にあった。中には計測不能の数値を示している者すらも居る。

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