風紀委員Girls! 98
「黒獅子の滝谷?」
静香は首を傾げる。
「(しまった。調子に乗り過ぎた)」
思わず旬の名前を出してしまったことに、舞は少し後悔する。
「全く…舞ったらホントに滝谷旬のこと好きなのね〜」
「ち、違っ…」
唯に茶化され舞が顔を赤くする。
「黒獅子の男の子とお付合いがあるの?」
明らかに怪訝な声色に静香のそれは変わった。
問題児や不良の集まりとして名高い黒獅子工業…静香があからさまに嫌な顔をするのも仕方の無いことかもしれなかった。
「え、そんな特別に付合ってるってことはないけど…」
それでも黒獅子というだけで、旬の総てを否定されたようで舞は面白くは無かった。
「おつき合いも無いのに、その滝谷って子のサイズを知っているの?」
う…流石桜咲を仕切っているだけのことはあるはね、子供騙しに誤魔化しきれないじゃない…;
「まあ、そんな険悪な風に言わないで欲しい」
舞と静香の間に入ったのは美菜子。
「清美は今年出来たばかりの学校。だから、周りの学校のことなんて全然知らないのさ。それはお互い様でしょう?私たちのことを知ってもらうために交流することが、そんなにダメなことかな?」
「あ、そんなつもりで聞いたんじゃないの。ごめんなさいね。」
素直に謝るところが憎いねぇ;
「ううん、こちらこそ…でもね、黒獅子にいても悪い子ばかりじゃないのよ。」
舞は言わずにはいられなかった。
「その…滝谷って子ね?」
「あ、う、うん…」
照れながらも正直に応えた。
「そこまで言うなら会ってみたいなぁ、その滝谷旬って子のもお兄様と比べてみたいし…」
「(なんだって…?)」
「(…そういう意味でですか)」
「じゃあ、その旬さんという方も今度、ここにお呼びしますかぁ」
「ちょっとまてやそこのお嬢様」
とんでもないことを言い出す碧に美菜子が突っ込んだ。
「まあ、前向きに考えて見ます」
「よろしくです」
静香が微笑む。
…意外だけど、彼女とは仲良くできるかも、舞はそう思った。