風紀委員Girls! 834
もう美咲の前であんなに私を誉めることないのに…
唯は湯に浸かりながら頬を膨らますが、内心では喜んでいた…
やっぱりお兄ちゃん好き…
この思いを断ち切ろうと美咲を連れてきたというのに、これじゃ逆効果じゃない…
唯はニヤけた顔を湯舟に沈め、プクプクと息を吐いた…
日が暮れすっかり暗くなった夜。
郊外にある24時間営業のフィットネスクラブのプールはまばらではあるが泳いでいる人もいる。
「ああ、久しぶりだ…こんな気分…」
青山静香は幼い頃からスイミングスクールに通っており、中等部までは大きな大会にも出場していた。
しかしここ最近は水と戯れること自体なく、精神的にも心をすり減らす日々…
「静香さん、こんなところにいらしたんですね」
「碧さん…」
清水家にはここよりも立派なプールが完備されていたはず…
それなのにこんな所にいる碧に驚いてしまう…
「どうなさったんです?…わざわざここに泳ぎに?…」
「そうじゃないは…静香さんやノブアキさんがここに通っているって聞いて、お会い出来ればと思って…」
青山家にだって屋上に大きなプールがあるのくらい、碧も知っている。
それなのに静香がここに行く理由が知りたかったのだ。
「家のプールではトレーニングにはならないので、ここに来れば気分もすっきりするんです…」
「水泳部には復帰なさらないんですか?」
「今更…私は昔の私には戻れません」
遠くで監視員やインストラクターが2人を見ていた。
「なかなかかっこいい方々ですね」
「碧さん、それが目当てですか…?」
「それは無いはぁ…私には付き合っている彼氏がいますもの…」
そうだった…お兄様と婚約を解消してまでその男と一緒になったんだ…
「そうでしたね…、確か青海の野球部だった佐伯祐樹くんでしたっけ?…」
「ええ、今は学校は中退して清水家のSPとして働いているんですよ…」