風紀委員Girls! 832
背に置かれていた航平の手が離れる…
そんなことを聞いた今でも、美咲は寂しさを感じてしまう…
「思い出したくもない過ちの過去って…誰でも持っているんじゃないかしら?…」
今度は美咲が航平の膝にそっと手を置いた…
「そうは言うけれど、僕にとっては今でも…」
「引きずることはないと思うんです。今は今、前を向いて進んでいれば…」
今度は美咲が航平を励ますような風になる。
「昔、親を亡くしたころかな…借金も背負って、かなり大変な時期があった」
美咲は航平の話を黙って聞く。
過去に調べたことのあること、本当だったんだな。
「唯のご両親が亡くなられたのって随分前の話しですよね?…そんな若者が借金返済を?…」
「ああ…僕のいる世界では金の為なら何だってやらすのは当たり前なことさ…、今思うと内臓を取られないでよかったと思うよ…」
その話しを聞いて美咲は眉をしかめる…
そういうことがあるのはなんとなく知ってはいたが、まさか現実にそんなことが行われていることに驚いてしまう…
「借金は返せたんですか?」
「ああ…今は自由の身さ。もちろん返済もしたけど、向こうから出された条件をのんだらかなり軽減してもらったんだ」
「へぇ…」
それなら安心していい、でも航平の表情はさらに曇った。
「でも、その条件をのんだ代わりに、大切なものを奪ってしまった」
大切なもの…?
航平にとって大切なものって何かしら…?
美咲の中でクエスチョンマークが幾つも重なり合う…
「その関係で今のお仕事を…?」
「ああ、まぁあそうだ…だけど雑賀組には助けられたんだよ…そうじゃなかったら僕は今ごろ枕営業専門のホストか、そうじゃなかったら変態ジジイに囲われていただろうからな…」