風紀委員Girls! 713
屈託のない舞の笑顔。
…ごめん、その気持ちには一生応えられない。
唯は泣きながら謝りたい気持ちでいっぱいになる。
「よ、そんなウジウジしてたら美人が台無しだろう?」
「美菜子…」
美菜子が唯の背中をパン、と叩く。
「そう言えばなんだけどアンタの兄ちゃん…私の幼なじみの母親と付き合ってるみたいなんだけど…」
「ちょっちょっと美菜子…そんなこと唯に言わなくたって…」
舞は慌てて美菜子を諌める…
「ううん舞大丈夫、そのことだったら私も知っていることだから…」
唯は精一杯の弱々しい笑顔で応える。
「ごめん、唯にまで辛い思いさせるのは…」
「いいよ…お兄ちゃんには、どんな形であれ幸せになってもらえたら、それでいいの…」
答えにも力がない。
「唯…何か隠してない?」
「えっ…」
「うん、やっぱり辛いでしょ?…いくらお兄さんに幸せになって欲しいからと言っても相手が相手だもの…」
「あっ、まあ…」
そっちのことかと唯は少し安堵する…
これ以上航平のことを舞に聞かれたら、隠し通す自信は無かった。
「やっぱりねぇ…、イケメンのお兄さんを持つのは持つで、それはそれで大変なんだ…」
「イケメンったって、家では裸でうろつくしテレビ見ながらお酒飲んでそのまま寝ちゃうし、グータラでロクでもないよ」
「男ってそういうものなのかな」
「…唯のお兄さんはお仕事が大変だから」
…唯は笑顔を見せるけど、それでも大丈夫かなぁ、と思ってしまう。
なんとなくだけど、この2人は兄妹ではなく恋人のように見えて仕方ないのだ。