風紀委員Girls! 703
脳裏にあの男の人の顔が思い浮かぶ。
小川航平…
彩未のお父さんの会社が借金を抱えてるって話だって、初めて聞いたよ。
「その弁護士の彼も、過去にはいろいろ闇を抱えてるって話よ」
「…字分の家も借金を、って聞いたことある」
「青海のOBですよね…」
「ええ、当時からかなりのイケメン…今だってかなり女性関係は激しいんじゃないかしら?…」
そういうことなら、敦子さんばかりを攻める訳にはいかないよな…
「ところでその借金取り立てに来ていた組って…雑賀組では?…」
恐る恐る聞く…
小川航平のことはもちろん、もしそういうことなら桃子のお腹の子の父親である雑賀光の家でもある訳なのだから…
「そのとおりよ。桃子ちゃんのお腹の子の父親の、彼の家のね」
「やっぱり…」
「雑賀組は昔はここら辺で幅を利かせていたみたいだけど、トップが病気で亡くなってからは力を失って影響も少なくなったの」
瑞穂さんの旦那さんだな。
真理子さんと果穂さんが帰り、お母さんは夕食の準備を始めた。
私は部屋に篭り、荷物をまとめながらまだ話の内容について考えていた。
彩未のお母さんである敦子さんは何らかの形で小川航平とデキている…
離婚を覚悟しているのだから、それは深い仲ってことなんだろう…
その小川航平が顧問として雇われているのが雑賀組…
落ちぶれたとはいえ雑賀組の跡目を継ぐだろう雑賀光は、桃子のお腹の子の父親ってことよね…
ただ、今の事実上のトップの瑞穂さんは、組の解体も考えてるんだよね。
そうすると路頭に迷った下の人たちがどうなるか…
「…複雑すぎるよなぁ」
ベッドに突っ伏す。
旬としたあのひと時が、まるで夢のように思えてくる。
いろいろと考えていくうちに、一日は終わっていくのだった。