風紀委員Girls! 676
「そうだよね…兄妹だもんね…」
「あれ?…唯ってお兄さんいたんだっけ?…」
「ぅ…うん…」
唯は今まで航平の存在を別に隠していた訳ではなかった…
ただ家族の話しをする友達はいなかった…
「へぇ〜なんか意外…唯はてっきり一人っ子だとばかりぃ…」
「あ、あははは…そう見えるかな?」
「しっかりしてるし、なんかお嬢様みたいじゃない」
「別にそこまで…お嬢様なんかじゃないし」
仕事じゃビシッとしてるけど、家ではグータラなお兄ちゃんだから、私が全部やっちゃうのは確かだけど。
…でも、お兄ちゃんとはね…
「唯のお兄さんだったらカッコイイんじゃない?…」
「ううん全然…、私には海馬みたいに見えることがあるはぁ」
別に太っている訳では無いが、何もせずにテレビの前に寝そべっている航平を見ると、ついそう思ってしまうことがあるのだ…
「へぇ〜唯のお兄さんがねぇ〜、海馬のお兄さんだなんてめちゃくちゃ興味が沸いてきたよぉ」
「その言葉を鵜呑みにしてくれないで欲しいなぁ」
「唯がそう言うからでしょう」
いつの間にか唯も大笑いしてしまった。
やっぱり持つべきものは友達なんだなぁ…と思わされる。
それに、あんな出来事はもう昔の話なんだよ。
いろいろあったけど、私はお兄ちゃんが大好きだ。
今だったら、自分からされたいと望んでもいい…
そんな唯の姿を…麻耶は車の中から見ていた…
友達と笑いながら歩く唯は、何処にでもいる普通の女子高生と何ら変わることの無く、麻耶はホッと胸を撫で下ろす…
そう…あんなこと忘れられるなら忘れた方がいい…
それが一時のことであったとしても…
麻耶は唯の姿をバックミラーで見ながら、車をゆっくりと発進させた…