風紀委員Girls! 637
美咲に突っ込みを入れる佳奈。
美咲はそれでも毅然とした表情で話を続ける。
「あるんだな、それが」
「どういうことさ」
「真里菜のお母さんは、当時の桜咲のミスコンで大賞を取った」
「確かに、あのお母様、すごい美人ですわね」
伊織が納得する。
「しかし、真里菜のお母さんは対抗でもなければ大穴のうちにも入らない、まったくのノーマークだった」
「そのときの本命だったのは誰なの?」
「静香さんのお母さんさ」
「えっ?…静香さんのお母さんって今国会議員の?…」
「そう…当時は青山家の一人娘…彼女の言うことなら、青海の生徒だろうが黒獅子の生徒だろうが、誰でも言うことを聞いたそうだは…」
黒獅子の生徒もか…
やっぱり小川航平のお父さんが起こした婦女暴行事件って、真里菜のお母さんを…?
舞は眉をしかめる…
それを聞いて、一転黙ってしまうのは桜咲の2人。
「堪えたかな…ごめん」
「いや…そんなことないさ。ここに来なかったらそんなこと知れなかっただろうしね」
平静を装う佳奈。
「まあ、響子さん…静香さんのお母様にはいろいろな噂がありますからね」
椎奈も続く。
「学校運営には関わってはいないんでしょ?…」
「ええ、青海、桜咲共にみているのは静香さんのお父さん…青山家に婿養子に入った隆一氏よ…」
「その人はどこから来た人なの?…」
「ああ青山隆一のことだったら分かるは…前にちょっと調べたことがあるから…」
ちあきはそう言って、持ってきたノートPCを開いた。
「彼は青海でも、黒獅子の出身でもないのよね。他県の出身で響子さんと出会ったのは卒業後」
「何がきっかけだったんでしょうね」
「隆一さんのお家も相当の名家で、その手のパーティーで知り合ったそうよ」
「へぇ…」
隆一さんの顔写真が出てくる。
精悍な顔立ちの人だ。
しかしこうしてみると静香は母親の響子さん似だということがわかる。
「隆一さんの旧姓はわかります?」