風紀委員Girls! 623
「ああ、小川とか言う弁護士のことですね」
きりっとした顔立ちで眼光は鋭い。
ノンフレームの眼鏡姿はいかにもな優等生といった印象を受ける。
「なかなかカッコいいですねぇ」
「この人が先日の事件を解決に導き、静香さんを救い出したそうよ」
「…そういわれるとなんか疑問ですねぇ、勉強しか出来ない頑固なヤツにしか見えない」
「そうね…何かを秘めたような暗い眼差しよね…」
「はい…確かにかっこいいんだけど、人を寄せ付けない感じがするな…彼女とかはいたのかしら?…」
「どうかしら?…静香さんに了承を得られれば、当時のOGに当たってみたいところなんだけど…」
「それは静香さんも喜ぶんじゃないかしら?…静香さんにとってこの男って、白馬に載った王子様だもの…」
佳奈は腕組みして考えながら、写真をもう一度見直す。
「静香が戻ってきたら、一度聞いてみます。何もされていないとは聞くけど、なるべく蒸し返してショックにならないように」
「ええ、お願いね。姉とは歳が近いはずだから、何か知ってることがあるかも…」
別のページ、写真には恵里菜の姉、ユリナの姿もある。
いまや人気女優となった彼女も、ここでは大勢の中の一人に過ぎなかった。
「あらぁ?…この中心で腕を組んでいる子って?…」
「ああ、それは堤ちあきさんよ…彼女、当時の桜咲の生徒会長よ…」
髪を引き詰め、皆に指示を出しているだろうその姿は、今と何も変わっていなかった。
「同じ写真に写っているなんて偶然かしら?…」
「偶然にしては距離は近いはぁ、多分文化祭の準備で、同じチームだったんじゃないかしら…」
「ちあきさんに、何か話が聞けたらいいですねぇ」
「そうだね、うちはあまり警察の方との交流がないからどうしようと思ってるんだけど…」
「そこは大丈夫っすよ、清美の奴らと手を組めば!」
「…佳奈ちゃんらしいね」
恵里菜は資料をパタンと閉じ、その一部を自分のカバンにしまいこむ。
「後はこっちで調べておきますよ。椎奈と菫さんもそろそろ来るはずですし」
「ありがと。じゃあ…」
恵里菜は生徒会室を後にし、妹の元に急ぐのだった。