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風紀委員Girls!
官能リレー小説 - 学園物

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風紀委員Girls! 620

「あ、そうなんだ…」
動揺しながらも、唯は何も知らない素振りで応える…

「凄いイケメンなんだからぁ〜!やっぱり大人の男って魅力的だよなぁ〜」
PC画面を唯の方に向け、恵美菜がおちゃらける…

履歴書の写真のように、真っすぐにこちらを見る青年…
それは確かに唯の兄の航平だった…

…確かに、兄は見た目だけ見ればイケメンで、皆が好奇の目を向ける存在に違いない。
本当のことを知らなければの話だ。

唯だって、兄のことが大嫌いなわけではない。
むしろ尊敬してやまない人物だ。
幼い頃から数多くの苦労を共にして、心の支えになってくれた大好きな兄なのだ。

だけど…家にいる時の力の抜けた兄は、皆が言う程凛々しくも無いし、カッコ良くも無かった。
どちらかと言うと…だらし無く…
唯がいなければ、何日も下着すら取り代えないような…そんな兄だった…

「きっと女性にモテるんでしょうねぇ〜」
「でもストイックそうだから、女性なんて近づけないんじゃないかしら?…」

ナイナイ;…
あの人は世間の男と何ら変わらず…大の女好きだよ…と、唯は心中でほくそ笑む…

自分の兄の顔写真を見て色めき立つ親友たちの姿を背に、唯は部屋の隅にカバンを置き、ゆっくりと椅子に腰を下ろす。

「唯、ちょっと元気ないんじゃない?」
小さな異変に舞がすかさず気づいて、近づいてくる。
「え、そ、そんなことないよ?」
「そう?」

それを見た美菜子も
「そういえばさ…唯も同じ『小川さん』だけどさ、接点がある、ってことはないよね?」

「う、うん…」
ここで“実は兄がいる”…“そのイケメンは私のお兄ちゃんよぉ”…などと言って、笑ってカミングアウトした方が楽になるのは分かっていた…

それでもそれに伴い、兄が青海で受けていた悲惨な虐めや両親の自殺…引いてはあの青山家との関係を聞かれそうで、とても話す気にはなれなかった…

「そう…そうよね…、“小川”なんて名字、別に珍しい訳でも無いものね…」
どうか唯の様子がおかしいと感じながらも、美菜子はこれ以上深く聞くべきでは無いと察した…

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