風紀委員Girls! 618
「この人が出た大学って、青海より格下ですよぉ…せっかくエスカレーター式で上に上がれるのに、わざわざそんなことするかしら?…」
「うんまぁあそうね…弁護士さんになるぐらいだから、学力には問題は無かった筈よね…」
「それじゃあ、何かとんでもない問題を起こしたとか?…」
「“とんでもない問題”って何よ?…」
「だから青海にいられなくなるような……」
考え込む伊織に、美菜子が尋ねる。
「青海の上層部の人間の怒りを買うようなことをした、何か重大なルール違反とか」
「弁護士になるような人がか?」
「もしくは、青海にいたときに酷い仕打ちを受けて、もうこれ以上青海に関わりたくないと思って自分から離れて行ったか」
「そのほうがありえそうだね」
理穂が頷く。
「小川航平…何か引っかからない?」
美咲が皆に尋ねる。
「そうだね…それに雑賀組の弁護士になったっていうのも気になるよ…」
美菜子が美咲の意見に同調する。
「ネットではそれ以上のことは分からないの?…」
伊織が探すようにして画面を覗き込む。
「残念ながら小川航平に関しての記事はこれぐらいね…一応彼が青海にいた頃の記事を検索はしてみるけど…」
美咲は滑るようなタッチでキーボードを叩く…
「うーん…大した情報は入ってこないなぁ…」
パソコンの画面を見ながら美咲はため息を吐く。
「さすがに過去までは漁れないか」
「仕方ないね」
美菜子と理穂が美咲を宥めるように言う。
「あっ、みんな集まってるんだ…」
生徒会室に舞がやってきた。
「今、小川航平のこと調べているだけど…舞は何か知らない?」
伊織は部屋に入って来る舞に向かい、開口一番に聞く。
「へぇ?…小川航平…?」
突然そんな名前を出されても、それが誰であったかも思い出せない舞だった
「ほら、雑賀組の弁護士の…」
ああ、あのイケメンの男のことか…