風紀委員Girls! 614
発進寸前の麻耶の車に純は飛び載った…
「酷いなぁ先輩〜、誘っておいて置いてくつもりだったんじゃないでしょうね;…」
「春日がグヅグヅしているからでしょ…見失ったらどうするのよ…」
「見失うって、誰をです?」
「もおぉいいからぁ;…春日は黙って着いて来ればいいから;…」
純を車に乗せ、麻耶はアクセルを踏む。
ちょうどそのとき、小川も車に乗り込み発進し始めた。
「(どうやら一人みたいね)」
黒のセダンを追いかけ始める。
…そのころ、こちらも小川のことが気になっていた静香は、あることに気がついた。
「小川さん…どんな方なんでしょう…??」
そこで静香に浮かぶある人物の顔。
「小川…唯さん、同じ苗字ですね…」
清美で風紀委員を勤める小川唯とは何度か面識はあった…
それでもそれは皆と一緒でしか会ったことはなく、静香にとって小川唯は遠い存在ではあった。
「小川航平と小川唯…別に"小川"って名字、珍しいものじゃないし…ただの偶然じゃない?」
それは静香だって分かっていた。
だけどどこか…胸騒ぎにも似た、引っ掛かるものを感じずにはいられなかった…
小川航平は自らの愛車を走らせ、一軒の家に向かった。
自分に対する追っ手がいることなどは、もちろん知らない。
「…あ、兄貴、お帰り」
「なんだ唯、帰ってたのか」
玄関の扉を開けたのは唯。
この2人は、血の繋がった兄妹なのだ。
「あの子って…?」
「はい、確か清美の生徒です…」
麻耶の問いに純は即座に答えた…
制服を着ていないとはいえ、どこか自分の好みだった女の子のことを純が忘れる訳が無かった。
「それじゃあ舞ちゃんの友達ってことかしら?…」
「はい、以前一緒にいるところを見ましたから…」