風紀委員Girls! 609
「ノブアキと碧は、生まれながらにして結婚することが決められていた、とでも?」
「その通りですね。お兄様は青山家唯一の跡取りという現状で、皆がそれを望んでいるといっても過言では…」
夏織が気の毒に思えてしまう。
「静香さんは…」
「私には何も話がないんです。期待されていない証拠ですね」
桜咲の生徒会長までやっている静香さんなのに、やっぱり男じゃないと駄目ってことなんだろうか?…
「でもその方が良くない?…、私だったら相手がどんないい人であっても、親の決めた相手と結婚するのには抵抗あるな…」
別に静香さんを庇う訳で無く、本心でそう思った…
「そうね…物は考えようね…」
「そうだよ〜、静香さんにも好きな人はいるんでしょ?…」
「それは…まあ、そうかもしれませんが…」
「ここだけの話、教えてくださいよ。誰にも言わないし、私にできるなら応援しますから!」
「い、いえ…舞さんのご厚意はありがたいですけど、それはちょっと…」
舞の屈託のない笑顔に、静香は視線を合わせづらくなる…
「舞さんこそ、黒獅子の彼氏さんと上手くいっているんでしょ?…」
静香は矛先を舞に向ける。
「えっ…ま、まあそれは…」
つい数時間前のことを考え、舞は顔を赤くしてしまう…
「やだぁ正直なんだから…なんだか焼けてきちゃうなぁ…」
静香もまた、旬に興味を、好意を抱いていた。
しかし、舞が彼と付き合っているのを知っている。舞には幸せになってほしい。
そう思うと、自分が一歩引くのが当然だし、それがいいに決まっている。
静香は思いをグッと心の中で我慢した。
「静香さんも、きっとそんな人が出来ますよ」
「いつになるかわからないけどね」