風紀委員Girls! 604
「それと…涼とのことは…もういいんです…涼ともちゃんと話したから、そのことは気にしないで下さい…」
「…西山さん………」
健気とも思える明日香の言葉に、純は胸を締め付けられる…
「私だって涼の気持ちも分からなくは無いし…こんな近くに春日さんみたいな素敵な大人の男の人がいたら、女の子だったらお願いしたくなるのは当然ですから…」
「あっ;…いや;…」
“素敵な大人の男…”…そんなことを言って貰えるような人間では無いのは、自分が一番よく分かっていた。
「私は、涼と一緒に幸せになりたいんです。春日さんも、彩未ちゃんを…幸せにするために、その気持ちに応えてあげてください」
「僕にできるのかな…」
「春日さんなら、絶対にできますよ」
明日香は笑顔のまま、純にそう言った。
「ありがとう…だいたいのことはわかったから…ゴメンな」
純は立ち上がって病室を去ろうとする。
「退院したら…私ともデートして下さいね…」
ぽつんと言った明日香の言葉に引き戻される…
デート…?
純は明日香が今まで言っていたこととの余りの違いに訳も分からず、眉をしかめてしまう…
「どういうことだよ?…」
純は首を傾げ、振り返った…
「ふふっ、言葉通りですよ」
明日香は柔らかな微笑みを浮かべて言った。
「いや、だから、どういうことなのか…」
「涼としたことと同じこと…してくれますか?」
「あっ…」
純はようやく言葉の意味が理解できたような気がした。
「…まあ、僕でいいなら」
「楽しみにしてますね」
あんな目に合ったばかりだというのに、本心で言っているんだろうか?…
からかわれているとしか純には思え無かった…
「そんなこと言って…強がっているだけなんじゃないか?…」
純の言葉に明日香は一瞬目を見開き、次にはその瞳を潤ませた。
「ごめんなさい…変なこと…言って…」