風紀委員Girls! 597
「なんか、ごめんなさい。部外者がご家庭の事情にまで首を突っ込むような真似をしてしまって」
「いいえ、私は舞さんたちからそれを知ることが出来て良かったと思ってます。そうじゃなければ一生わからないでしょうから」
静香は舞の方を向いて微笑む。
「舞さん…」
「はい?」
「彩未は、あの後も元気でしょうか」
「彩美…?」
彩美といえば桃子の事件の時に関わっていたんだっけ…
確か現場から逃げて、旬に助けを求めに行ったんだと聞いたけど…
「彩美がどうかしたの?…何か気になることでも…?」
舞は、静香が何が言いたいのか探りを入れる…
「ええ…今回のことだけでなく、いろいろと彩未には迷惑をかけてしまいました。負担がかかりすぎて心を病んでしまってはいないかとずっと心配で心配で」
「ちょっと大袈裟なような気もしますが…彩未は静香さんが思うほど精神的に弱い子じゃないし、少しずつ前進していると思います。桃子のことは今でも責任を感じているみたいだけど…」
「そうですか…」
やがて由紀さんが2人分の紅茶をテラスに持ってやってくる。
―その頃、病院では
「真里菜…」
ベッドで眠る真里菜の姿を、風紀委員の仲間であり、幼い頃からの絆を持つ松井恵美菜は沈痛な面持ちで見ていることしか出来なかった。
「ごめんね…恵美菜ちゃん、ずっとついていてくれたんだ…」
部屋に入って来たのは、大きなサングラスで顔を隠した女性だった。
「?…えっと…」
「やだぁ忘れちょった?…私よ私、小さい頃一緒に遊んだでしょ?…」
口元を上げる女性は、ゆっくりとサングラスを外した…
「ふえっ、ゆ、ユリナさん!?」
サングラスを外したその人は真里菜の姉でいまや人気女優のユリナ。
恵美菜にとっては幼い頃、一緒に遊んでもらっていた実の姉のような存在だった。
「真里菜は…大丈夫かしら」
「怪我などはないみたいです。気を失ったと聞いて心配しましたけど…」