風紀委員Girls! 595
…確かに、大きなお屋敷の手前に正体不明の黒塗りの高級セダンが止まっていたら、何事かと思われるよね。
それに滝さんの身に何かあったらいけないし…仕方ないね。
「舞さんにはお帰りのお車を用意しますから」
「ご、ごめん、静香さん」
「私が迷惑をかけてしまったのですから、気にしないでくださいませ」
「じゃあ、また。会う機会があれば」
滝さんとは青山家の前で別れることとなった。
「そんなこと言わずに、違いうちに滝谷家の皆んなと会いましょよ!…」
舞はそのつもりだった、もし皆で会うのに抵抗があるのならば旬とだけでも…
「ありがとう…」
滝さんは舞の言葉に礼だけ言って軽く指を立てると、車を発車させて行った。
「かっこいいはね…」
隣で静香が、舞が思っていたことを口にした…
「ええ、そっくりですよね」
「…そっくりって、誰にですか?」
清々しい笑顔で舞は言うが、何も知らない静香は首をかしげる。
「旬…あの人、滝谷旬のお父さんですよ」
「まあ…本当に…?」
静香は口元を押さえて驚いた。
「お嬢様!」
そんなところに、静香のお付きの執事、由紀さんが駆け寄ってきた。
「なんなんですあの車!…あんな車からお嬢様が出て来るじゃありませんか、私はただただ驚いてしまって!」
見られていたのかぁ…
5分とこんな所には停車していられないと滝さんが言っていたことは、本当だったんだな;
「やだぁ由紀ったら大袈裟ねぇ〜、親切な人に送ってもらっただけよ…」
「いえいえお嬢様!親切な人って言っても、あんな車に載っているのは悪い奴に決まってます!ただでさえ清美の生徒さんがその筋の者に襲われたって、大騒ぎになっているんですよ!」
「舞さんもありがとうございました…お嬢様をお送り下さいまして」
由紀さんはこちらに向かっても頭を下げる。
「清美の生徒さんのことは…本当にお気の毒に思います…私たちにも何かお手伝いできることがあれば何でも申して下さい」
「ああ…はい、その気持ちだけで充分です。私たちもまだ状況がよくわからなくて…」