風紀委員Girls! 592
やっぱり旬のお父さんだったのか…
旬はご両親のことはあまり話したがらないけど、こういう形で旬のお父さんに会えたことが舞は嬉しかった。
「こんなに近くにいるんだから、たまには会いに行けばいいのに…」
「まあそうなんだけどな…遠くからお袋や旬の姿を見るのが精一杯だ…」
それでも滝さんは旬のことを気にして、遠くから見守っていたんだ…
「事業の方は…?」
「もう一度やり直したいと思ってるんだけどな…姐さんからはその気があれば援助するなんて言われてる」
姐さん、ってのはきっと瑞穂さんのことだろう。
「亮…一番上の息子なんだけど、アイツはどうしてるんだろう…」
今度は滝さんが尋ねてくる。
「知らないんですか?…ほらあの看板!」
タイミングよく、多岐亮が笑顔を見せるスポーツ飲料の大看板が見えてきた。
「あの若僧が…?」
「クスッ…そういうところ旬に似てますね…」
「旬に…か?」
「そう、旬も自分のお兄ちゃんが売れっこの俳優だって、ついこないだまで知らなかったんですよぉ…」
「俳優…そんな仕事を…」
滝さんは驚いた風だが、その頬は心なしか緩んでいた。
「まったく、誰に似たか知らんが見てくれだけはいいヤツだからなぁ…」
「嬉しそうですねぇ」
「いやぁ、そんなんでもないさ」
そんな話をしていると、後部座席でモゾモゾと動く音が。
静香が目を覚ましたのだ。
「静香さん…」
舞はそっと声を掛ける…
「舞…?………舞さん?」
静香は当然ながら、この状況を飲み込めていないようだった…
「いろいろあって、犯人のいる雑賀組の倉庫に来たのよ…そこで静香さんに遭遇した訳なんだ…」