風紀委員Girls! 591
……。
そんなことを言われるとこっちも何と言えばいいのかわからなくなる。
事業に失敗してこっちの道に…もし今もうまく行っていたらなぁ、と考えてしまう。
「おかげで子供にも迷惑かけてしまってなぁ…もう会わせる顔がないよな…」
滝さんの横顔が、誰かに似ていると舞は感じた。
「お嬢さんがいると…さっき言ってましたよね…」
「ああ…息子たちやお袋には、事業が上手くいかなくなったのが離婚の原因だと言ってあるんだが、実は外に子供が出来ちまったことが本当の理由ではあるんだ…」
なんだかそれって…?
「滝さん…もしかしてなんですけど…滝さんの本当の苗字って…滝谷さんだったりしません?…」
ちょうど赤信号で車が止まる。
滝さんはハンドルを握ったままだが、少し驚いたような顔をした後、舞のほうに視線を向け
「お嬢ちゃん…鋭いな」
「いえ…さっき聞いたことといい、息子さんが3人いることと…」
「真ん中の息子と歳が近いよな…知ってるのかい?」
「ええ、ついさっきまでおばあちゃんと…それに笙くんとも一緒にいたんです…」
舞の言葉に、滝さんは目を大きく見開く…
「笙が…あいつが来たのか?…」
「はい、旬もおばあちゃんも始めは驚いていましたけど、それはもう喜んでいましたよ。」
今頃は三人で、おばあちゃんの手料理でも食べているんじゃないかな?…
「みんな元気だったか?」
「ええ…住んでいる場所はともかく、みんな笑顔だし、特に困ったこともなくて、元気ですよ」
「そうか、それなら良かった…」
青信号で、車は再び動き出す。
滝さんは安堵の表情を見せていた。