風紀委員Girls! 586
煉瓦造りのその倉庫はとてもクラシックで、ここにこんな素敵な建物もあったのかと驚いてしまう…
「なんだか横浜に来たみたいですね…」
唯の声は弾んでいた。
「異国情緒があるでしょ…この倉庫だけは壊されずに残っていたのよ…」
瑞穂さんは誇らしげに言う。
「このままこの状態で保存されれば国の文化財にも指定されるかもしれないってね。私の旦那も含めて一切興味なさそうだったんだけど」
「でも、素晴らしいですね」
「しかし、この中に…」
「ええ、奴らはこの中にいるわよ」
後からついてきた車が隣に止まる。
それを見て瑞穂さんは舞たちに降りるよう促した。
黒づくめの男が外からドアを開いてくれる。
「すいません…ありがとうございます…」
こんな屈強なる身体をした男が自分の為にドアを開けてくれるなんて…
なんだかボディーガードの着いたセレブになったみたいで、当然悪い気はしなかった。
一番最後に同様に車を降りた瑞穂さん。
「さあ、行きましょうか」
「はい…」
凛々しい表情に舞たちの気持ちもぐっと引き締まる。
瑞穂さんが先頭を切って歩く。
その後ろにつく黒服の男たち…まるで映画のワンシーンのようだ。
入口に近づくとなぜか勝手にシャッターが上がり始める。
「小川さん、待たせたね」
小川と呼ばれた男は深々と頭を下げる。
まだ20代半ばだろうか?…瑞穂さんに“さん”付けされるにはまだ若く見える男だった…
「あの子たちはおとなしくしてるのかい?…」
「はい…姐さんに言われた通り裸にひん剥いて、天井から吊し上げておりますから…」