風紀委員Girls! 573
おばあちゃんの昔話は続く。
気分が乗ってきたのか押し入れから当時のアルバム(よく残っていたものだ)を引っ張り出してきて見せてくれた。
おばあちゃんの旦那さん、つまり旬たちのおじいちゃんは、おばあちゃんの言うとおり男前で。
もちろんおばあちゃんも絶世の美少女、そんな感じがした。
そしてその頃のことを語るおばあちゃん、物凄く幸せそうな顔だった。
孫に久しぶりに会えたのもそうだが、今までで一番のいい表情だった気がする。
…そんな話に花が咲いて小一時間。
「…おっと」
舞のスマホが唸る。
電話の主は桃子。
「桃子?どうしたの?」
『舞…ちょっと、大変…真里菜が、明日香が…』
「えっ?…その二人に何があったって言うの?…」
いつもとは明らかに様子が違う桃子の声に、舞は動揺してしまう。
「何かあったのか?…」
そんな舞に気づいた旬が、横から声を掛ける。
舞は“ちょっと待って…”と、ジェスチャーでそれを伝えた。
桃子の声が震える。
舞は必死で落ち着かせ、しっかり話を聞いた。
…2人に何か、危機が迫っているのか…
「ありがとう…桃子」
舞は通話を終えるとすぐに立ち上がる。
「おばあちゃん、ありがとう」
「舞ちゃん、気を付けてな」
「俺らも一緒に行くか?…」
俺“ら”って…旬は笙くんも一緒に連れて行く気なのかしら?…
「ううん…とりあえずは私一人で行ってくる……」
「あ、そうか…何かあったら必ず連絡しろよ!」
やっぱり旬は、こういう所は頼もしい…
靴を履いて、おばあちゃんに一礼して、ドアを閉め階段をゆっくり下る。
「舞!」
「ふぇ?凛さん?」
小走りで舞のところに駆けてきたのは凛。
「…なんだか大変なことになっているんだけど」
「うん…知ってる」