風紀委員Girls! 567
旬たちが高級住宅街に住んでいたというイメージは湧かなかった。
…だとしたら、それより前に何かあったのだろう。
「お父さんの責任、とは…」
「あの子の仕事がうまくいっていたらねぇ…まああの子が悪いわけじゃないし、私も責めるつもりなんてないがね」
「それが原因で旬のお父さんとお母さんは離婚を?…」
「まあそうだね…元々あの人はお嬢様育ち…こんな貧乏暮らし堪えられ訳など無かったんだろうよ…」
おばあちゃんの口調にはどこか刺があった…
それも無理も無い…
旬をその後育てたのは、おばあちゃんなんだもの…
「亮と笙は彼女を選んでついて行ったけど、やっぱり可愛い孫だから、ずっと気になっているんじゃよ」
孫を思うおばあちゃんの気持ち。
なんとかして叶えてあげたいと思う。
…するとそのとき。
外で階段を駆け上がる足音が聞こえてきた。
「あっ!帰ってきたんだ!…」
もうこのアパートには旬とおばあちゃん以外住んではいなかった。
階段の音イコール旬だと思うのは当然だった…
舞とおばあちゃんは笑顔で玄関の扉を見つめた。
トントン…
遠慮がちに扉を叩く音…舞とおばあちゃんは目を合わせ、互いに首を傾げてしまった…
しかしすぐにおばあちゃんの顔は笑顔になる。
舞もつられてクスッと笑ってしまう。
「鍵は開いとるで、遠慮せんで中入って来い」
おばあちゃんがそう言うと、ゆっくりと扉が開く。
「…ばあちゃん」
顔を出したのは、さっき見かけた彼だ。