PiPi's World 投稿小説

風紀委員Girls!
官能リレー小説 - 学園物

の最初へ
 554
 556
の最後へ

風紀委員Girls! 556

重い足取りで旬の家に向かう。
一人なんだから引き返すことも出来るのだが、せっかくの唯の好意を無駄にはしたくなかった。

今にも崩れそうな旬の住むアパートが見えて来る…
その前で窓を見上げる一人の少年…、中学生だろうか?この辺りでは見かけない制服を着ていた。

舞に気がつき、慌てて立ち去ろとする少年…顔立ちがどこか旬に似ていた…
もしかして…旬の弟…?

彼は一言も言わず走り去ってしまい、舞も声すらかけることができなかった。

「…いいか、それはその後だね」
舞はため息ひとつついて、自分の胸に手を当てた。
…やるしかないんだ。
今の自分の気持ち、旬に伝えるんだ。

舞はゆっくりと階段を上がって、旬の住む部屋の前に立つ。

「笙!」
と、突然に扉が開き旬が飛び出して来る。

旬は舞の姿を認めると驚いたように眼を見開いた。
「な、なんでお前が…」

「ごめん来ちゃった…マズかった…よね?」
旬の慌てようを見ると、間が悪かったと思いざるおえない;

「い、いや…」
最後に会ったときのことを思い出し、お互いが言葉に困り立ち竦む。
「ごめん…」
「いや…俺の方こそ、舞の気持ちも知らないで…」

舞の心がキュッと締め付けられ、我慢していたはずの涙が込み上げてくる。
「旬…私…私……」

「わっ;…な、泣くなよ舞…」…こんな時に;
旬は思わず顔に皺を寄せてしまう;…

窓から見た少年は、確かに笙に違い無かった…
それは離婚した母親の方に引き取られ、もう何年も会ってはいない弟なのだ。

当然、追っていきたい気持ちは山々だった…
それでも舞を置いて行くなど、とても出来ない状況なのは分かっていた。

SNSでこの小説を紹介

学園物の他のリレー小説

こちらから小説を探す