風紀委員Girls! 529
静香は桃子を優しく励ましてくれたという。
心優しい彼女だからよかった…とは思いつつも、頭の中では旬とノブアキの顔がちらつき舞は首をブンブン横に振る。
「舞…ホントに大丈夫?」
「わかんない…わかんないんだ…なんか怖いんだよ。男の人が…」
こんなこと桃子に言うべきでは無いことは分かっていた。
自分なんか比べ物にならないぐらいに、男たちから酷い目に合ったのだから…
「舞…私、少年院に根来泰輔と雑賀光に会いに行ったんだよ…」
「えっ!?……ど、どうして?…」
「…このままだと前に進めないと思ったの…このままだと一生男の人と愛し合うことも出来ないと思ったの…」
桃子は私よりもずっと強い子だった。
私が未遂に終わったり、言い寄られただけなのに比べたら、酷いことをされた桃子は…
「奴らの反応はどうだったの…?」
「根来は何も話してくれなかった。でも、雑賀は私の目を見て謝ってきた。子供が出来て、産むと決めたこともちゃんと告げたよ…」
「桃子、辛かったよね…ごめん、私ったら自分のことばっかりで…」
自分のことが恥ずかしくなる…
「ううん…それがそうでも無かった…初めはヘドが出るくらい怖かったんだけど、会ってみると2人ともただ少年に過ぎなかったんだ…」
「そうなの?…あんなことした2人が…?」
「うん‥2人とも坊主頭で、可愛くさえ見えたの…」
「えっ?」
桃子のその言葉に、舞は一瞬疑ってしまう。
あの廃工場で出くわし、激闘?を繰り広げたときの根来と雑賀は、そんな姿ではなかったはずだ。
根来は肩くらいまである長髪、雑賀は茶髪で前髪で目が少し隠れるような感じ…おそらくあの事件後、少年院送りにされてから『制裁』の意味もあってそうなったのだろう。
「舞、ちょっとビックリした?」
「ちょっとどころじゃないよ…」