風紀委員Girls! 513
「ここじゃ無理かな…誰もこないけど」
「…えっ」
夏織はソファーから立ち上がり、ノブアキの手をとって握る。
「私の部屋、行こうか」
「えっ…」
さらに戸惑うノブアキ。
「ノブアキくんは、女の子の部屋に入るの、初めて?」
「ぅえっ?…そ、そんなことも無いけど…」
嘘だった;…
ノブアキは、妹の静香の部屋ですらまともに入ったことは無かった…
「ふふっ…それじゃあ慣れているってことぉ?」
こんなウブな対応を見て、慣れているとは決して思いはしなかったが、夏織はそんなノブアキの応対を楽しんでいた。
「いや、そんなに、あるわけじゃないから…」
ノブアキは何とか言葉を返すが、しどろもどろになってしまう。
「ふふっ、ノブアキさんって、思ったよりもシャイというか、奥ゆかしいというか…」
「そ、そうかな?」
「もっと女の子とたくさんデートしてると思いましたよぉ、青海のトップでモテモテだっていう」
「そんなことはないよ…」
俯き視線をそらすノブアキに、夏織は近寄り身体に寄り添う。
ドキドキとした心臓の音が、夏織に聞こえやしないかとノブアキは焦った;…
確かに自分は、老若男女誰からも好感を持たれる、男のセックスを感じさせない爽やかな存在として見られていることは自覚していた。
その周囲の目に答えようと、自らそういう存在になろうと努めてもきた…
それでもノブアキとて生身の男…
毎日大量なる精液を作り出す、健康なる若い身体を持っているのだ…
いったいどうすべきなのか、ノブアキが自分の持っている知恵を総動員させて考えていると、不意に唇に柔らかな感触を感じた。
夏織が唇を重ねてきたのだ。
両腕が背中に回り、体重をこちら側に預けてくる。
しかし苦になるほどではない。むしろ夏織が軽過ぎて驚くくらいだった。