風紀委員Girls! 511
「アリシアったら、彼が何言っても聞いてないみたいだったからさ」
「ちょっと彼に同情するところもあったなぁ」
「そ、そうだったんですね…」
ますます以前の自分が恥ずかしい。人としてどうかしてる。
「ふふふ、でもまあいいんじゃない?これから愛を育めばいいのよぅ」
「でも、どうしたら…」
「先ずは既成事実をつくらなきゃだめよ…」
「へぇ?…既成事実って何ですの?…」
「それゃあ男と女が付き合うんですもの…それなりに経験を積んでいかないと…」
夏織の言葉に、横で聞いていた舞も耳を傾けてしまう…
「経験を積むって…やっぱりあっち方面のこと?…」
顔を赤めながら、舞は夏織に聞いていた…
「…なんだ、ここにもまだ悩んでいるのがいたか」
夏織がニヤリと笑って舞とアリシアを交互に見やる。
「そう言う夏織はどうなのよ…」
「私?私は、一応場数だけは踏んできたけどね」
「…知らなかった」
ノブアキが初めての男かと思っていた舞には、意外と感じた夏織の言葉である。
夏織は別に隠していた訳では無かった。
だからといってそのことを自分から進んで話すのには抵抗があった…
人には言えないお付き合い…
夏織の彼には妻も子供もいた…
だから高校生らしい恋愛に憧れた…
ノブアキと寝たのも、それ故にだった…
以前の彼とはもう別れた。
今彼がどうしているのかすら知らない。
夏織が中3の頃に転校したのは、その彼との関係を絶つためと言っても過言ではないからだ。
だから、ノブアキと再会したときは嬉しかった。
そのときのノブアキには当然、碧という婚約者がいたのではあったが…